フリーランスと確定申告 確定申告にも役立つ会計ソフトを導入するタイミング

お金

フリーランスとは、一般的には企業に属さず働く個人を指しますが、税務上は「個人事業主」として扱われます。たとえば、会社員であれば、企業など所属する組織が年末調整などを行いますが、フリーランスは事業所得が48万円を超える場合(給与所得がある場合は副業の所得が20万円以上)には、「確定申告」を行わなければなりません。青色申告、白色申告の違いや、フリーランスが確定申告を楽にするための会計ソフトの導入タイミングについて考えてみましょう。

目次

    フリーランスの確定申告 青色申告と白色申告どちらがいいのか


    慣れないうちは、確定申告の時期に気が重くなる、という方も多いのではないでしょうか。フリーランスとして仕事を始めたばかりの場合、所得が少ないケースも多く、少しでも負担を減らすために白色申告を選ぶ方もいるかもしれません。しかし、年間所得が50万円を超えてくると、青色申告を選ぶほうが得になることが多いといえます。

    青色申告には、最大65万円の「青色申告特別控除」や、カメラやパソコンなどの30万円未満の減価償却資産を一括で経費にできる「少額減価償却資産の特例」、「赤字の繰越が3年間可能」になるなど、多くのメリットがあります。ただし、青色申告を利用するには、開業届を事前に提出し、期限内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。

    また、青色申告の場合、帳簿は複式簿記で管理する必要があります。そのため、書類作成や簿記の作業に慣れていない場合には負担になるかもしれません。会計ソフトを活用することで、開業や青色申告に必要な提出書類の作成、確定申告にかかる手間を大幅に軽減し、ストレスを減らすことができます。

    会計ソフト導入の適切なタイミング

    売上がまだ少ない段階では会計ソフトにかかるコストを考慮し、導入をためらう方も少なくないかもしれません。取引が少ない場合や利益が少ない時期には、Excelやスプレットシートを使って自分で収支を整理し、申告書類を作成する方法もあります。インターネットで検索すれば、テンプレートも見つかるでしょう。

    しかし、簿記や確定申告の知識がない場合、取引が増えた場合などには、これらの方法では会計処理が追い付かなくなることもあります。自分で申告が難しくなった際に税理士に依頼すると、5~10万円程度かかるケースもあり、負担はさらに大きくなってしまうでしょう。

    会計ソフトは簿記の専門知識がなくても直感的な操作が可能なため、経理の負担を軽減できるメリットがあります。また、一般的なクラウド会計ソフトは月1,000円程度と、比較的低コストで申告業務を行えるため、売上や取引が増える前から導入して慣れておくと良いかもしれません。

    売上や取引量が増えると帳簿付けが大変に

    年間売上が100万円を超える、または月間の取引件数が20~30件を超えるようになると、会計業務の負担を感じる人が増えてきます。こうしたタイミングで会計ソフトを導入することで、業務に集中できる時間が増え、さらなる売上アップにつなげることが期待できます。

    また、クラウド型の会計ソフトであれば、帳簿付けが楽になるだけでなく、法改正にも自動対応してくれるため、法令や税制の変更に対する事務処理の負担がほぼなく、常に最新の法律に基づいた申告が可能です。

    会計ソフトがあれば、複式簿記の仕訳も簡単にできる

    青色申告で確定申告を行うには、複式簿記での帳簿付けが求められます。原則として、50,000円の請求書を発行した場合、売上は計上されますが、まだ入金がないため、以下のような仕訳を行います。

    その後、取引先から普通預金に50,000円が入金された場合は、以下のように仕訳します。

    このような仕訳作業は慣れてくればスムーズに処理できるようになりますが、手作業では面倒に感じることもあるでしょう。会計ソフトを利用すれば、直感的な入力操作でこうした仕訳をスムーズに行えます。

    また、事業用の銀行口座を連携させた会計ソフトから請求書を直接発行すれば、売上や入金の取引内容が自動的に帳簿に反映される、という便利な機能も。事業用のクレジットカードを連携させれば、仕入や光熱費、通信費などの費用も自動的に処理が可能です。こういった連携により手作業によるミスの防止や、入力忘れを防ぐことができる点も、会計ソフトの大きなメリットです。

    請求書や見積書作成機能も充実

    多くの会計ソフトには、見積書や請求書を簡単に作成できる機能が搭載されており、これらの書類作成やPDF化までは無料プランで対応できるソフトも多くあります。さらに、有料プランにアップグレードすると、定期請求の自動化や請求書の郵送代行サービスなど、便利な機能が利用できる場合もあります。

    個人事業主におすすめの会計ソフトと選び方

    個人事業主によく使われるクラウド型の会計ソフトに「freee会計」や「マネーフォワード クラウド」、「やよいの青色(白色)申告 オンライン」などがあります。どれを選べばよいか迷うかもしれませんが、会計ソフトには、一定の期間や取引内容に応じて無料プランが準備されているものも多いため、それぞれのソフトを試してみるとよいでしょう。

    • freee会計:シンプルな操作で、簿記の知識がなくても直感的に使える設計。
    • マネーフォワード クラウド:細かい設定やプロジェクト管理ができ、経理経験者にもおすすめ。
    • やよいの青色(白色)申告 オンライン:伝統的な経理手法に慣れた人に向いている。

    どのソフトであっても手入力にくらべて直感的な入力ができ、会計ソフトの利用料金も大きく変わらないため、サポート体制が会計ソフトを選ぶ際の重要なポイントになります。同じ会計ソフトであってもプランによって、チャットやメール、電話など受けられるサポートが異なるため、ソフトの公式サイト等を確認し、検討してみましょう。

    会計ソフトのサポート

    会計ソフトのほとんどは、操作が分からないときのためにメールやチャットによる公式のサポートが提供されています。ただし、安価なプランでは個別サポートを利用できない場合や、電話サポートを受けるにはハイグレードなプランの契約が必要な場合があるため、自分が必要とするサポート内容と利用料金のバランスを見極め、どの会計ソフトの、どのプランが最適かを判断することが大切です。

    フリーランス仲間との情報共有も重要

    フリーランスは、業務を外注しない限り、営業から会計まで全てを自分で行う必要があるため、困ったときに一人で悩んでしまうことも少なくありません。もし周りにフリーランス仲間や先輩がいる場合、同じ会計ソフトを使うことで相談や知識共有がしやすくなる可能性があります。

    相談できる相手がいない場合、いざというときに頼れる場を作っておくことも大切です。自治体が窓口を設けている場合もあるため、地域によっては公共のサポートを活用できる可能性があります。

    また、自分の住んでいる地域やオンラインで、自分のニーズに合いそうなコミュニティや集まりがないか、一度確認してみるとよいでしょう。同業種の人が集まるコミュニティに参加することで、業務上の情報を共有しやすくなり、今後の業務に活かせる知識やネットワークを築ける可能性も高まります。

    フリーランスに不可欠な確定申告とスキルアップ

    フリーランスとして働いていると、確定申告以外にも、さまざまな問題に直面することがあるかもしれません。こうしたとき、相談できる環境やサポートが必要になることもあるでしょう。また、安定した受注を確保するためには、スキルアップも重要です。

    「でじたる女子+」は地方自治体にも採用されているe-Learningプログラムで、デジタル時代に必要なITスキルの習得に特化したプログラムです。同じく学ぶ女性たちが集うコミュニティに参加することができ、情報共有や交流する機会もあります。こうしたネットワークを活用することで、孤立することなく、より前向きにフリーランス生活を続けることができるでしょう。

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