働く女性は結婚や出産、育児などの大きなライフイベントにより、キャリアへの影響が少なからず出てしまいます。
また、子育てがひと段落した40代~50代の女性も「今後どんな仕事をしていこうか…」と悩む方も多いです。
セカンドキャリア構築のためには、セカンドキャリアの選択肢やセカンドキャリア支援制度についても詳しく知っておく必要があります。
当記事では特に女性の出産育児後のキャリアについて、選べる選択肢、セカンドキャリア支援制度や受けられる助成金についてを解説していきます。
✓セカンドキャリアを考えているけどどんな働き方がいいのかわからない
✓一人でセカンドキャリアを構築する自信がない
✓セカンドキャリアや支援制度についての知識を身につけたい
という女性の方はぜひ当記事を参考にしてください。
セカンドキャリアの3タイプ
出産育児後の女性のキャリアは、他の企業に雇用される「転職」・自身で会社設立をする「起業」・会社に属さず自身で仕事を請け負う「フリーランス」に分類されます。
セカンドキャリア構築のためには、この3つの中でどの形態が自分に合っているのかを見極める必要があります。
まずはこの3つのタイプでセカンドキャリアを構築する流れを見ていきましょう。
転職(他の企業に雇用される)
セカンドキャリアとして、転職を選択する場合は年齢の問題が大きくなってくるでしょう。
20代~30代であれば、新しいことに挑戦しキャリアを築いていくところからスタートできます。
企業理解を深め、志望動機に厚みを持たせることを意識しましょう。また「なぜ前職を辞めたのか」という問いにも企業側が納得できる答えを準備しておくことが大切です。
ただし30代後半になれば経験やスキルを求められることが多くなり「即戦力」として雇用されることが多くなってきます。
実際に”未経験可”と記載のある求人は35歳までと年齢制限をかけている企業も少なくありません。
「自身の経験やスキルを企業にどう活かせるか」など自身の強みをしっかりと把握しておくことが大切です。
一方で中高年となる40代、50代でも転職することは可能ですが、やはり20代、30代と比べると企業に採用してもらうためにそれなりの準備が必要となります。
20代~30代が多くなる中小企業では、40代~50代が習得している熟練したスキルや指導力に魅力を感じているため、「具体的にどんな仕事がしたいか」「その仕事をするために必要なスキルは何か」を考えて早めに行動に移すようにしましょう。
今の企業で働きながら得られるもの、または自身で勉強しスキルを積み重ね実績を上げていくことで自身の人材価値を高めることが重要です。
起業(会社設立)
次に起業し”社長になる”というセカンドキャリアを選ぶ場合。
近年セカンドキャリアとして起業を選ぶ女性は急増しています。
その理由として
・年齢や学歴を問わず挑戦できること
・趣味や特技を仕事にできること
・自宅起業もできるため育児との両立がしやすいこと
が挙げられます。
女性が起業する職業としては
・ネイリスト
・エステティシャン
・ハンドメイド作家
・コンサルティング業務
・Webデザイナー
・Webライター
などが人気です。
まずはご自身がやりたいことを明確にしていきましょう。
「何を」「誰に」「どのように」届けたいのかを明確にし、その為に必要なスキルや知識を身につけることが重要です。
仕事のことだけでなく、集客の方法についても自身で考えなければいけません。その為、WebマーケティングやSNS集客の知識も必要になってきます。
会社を作り、事業を継続していくためには入念な準備が必要になることを覚えておきましょう。
フリーランス(個人事業主)
セカンドキャリアとして起業よりもハードルが下がるのが、”フリーランス”という働き方です。
フリーランスとは、会社に属せずスキルを活かして、仕事に応じて自由に契約を交わす働き方のことを言います。
・カメラマン
・ライター
・デザイナー
・プログラマー
・イラストレーター
・漫画家
など、特別なスキルが必要になる場合がほとんどです。
仕事の調整を自身ですることができる、家事育児との両立もしやすい、というメリットもありつつ、会社に雇用されない為すべてが自己責任となります。
ですが、起業への第一歩としてはフリーランスは働きやすいと言えるでしょう。
セカンドキャリアとしてフリーランスを選択する場合は、起業と同じくまずはスキルを身につけることが必要です。
ご自身がどのような仕事をしたいのかを明確にし、経験がない場合はまずクラウドソーシングなどのマッチングサービスを使い、コツコツ実績を積んでいくことが大切です。
スキルや実績が身についてきたらご自身で営業をかけたり、単価交渉もしやすくなります。
そこまでコツコツやり続ければフリーランスとして働いていくことは十分可能でしょう。
セカンドキャリア形成を支援する各種制度・サービス
セカンドキャリア構築は、自身の強み、考えを知り、しっかりとした軸を持ってしなければいけません。
ですが、自分一人ではどうすればいいかわからないこともあると思います。
また、スキルを身につけるにしてもどうやって…?という疑問も出てくるでしょう。
セカンドキャリア構築に悩んだ時に積極的に活用したいのが、国や民間が支援してくれる制度やサービスです。
自分がどのようなセカンドキャリアを歩んでいきたいのか、しっかりと考えるためにもこの支援は有効です。
ぜひ積極的に活用していきましょう。
※2021年5月時点での情報です。
教育訓練給付制度
教育訓練給付制度とは、教育訓練を受講するために支払った金額の一部を支給する雇用保険の給付制度です。
「一般教育訓練」と「専門実践教育訓練」とで要件や支給額は違ってきますので、それぞれの支援内容を具体的に解説していきます。
まずは比較的気軽に受けられる一般教育訓練から対象者・給付金額・対象講座を見ていきましょう。
・受講開始日時点で雇用保険の支給要件期間が3年以上※
・受講開始日時点で被保険者でない場合、離職日翌日から1年以内
・前回の教育訓練給付から3年以上
※初めて支給を受ける方は支給要件期間1年以上
支給要件期間とは・・・受講開始日までに雇用保険が適用されていた期間のこと。事業主が変わっている場合でも通算できるが、雇用保険の空白期間が1年以上の場合は通算されない
教育訓練経費の20%(4千円~10万円)
・Webデザイン
・MOSスペシャリスト
・DTPデザイン
・ケアマネージャー
・ファイナンシャルプランナー
など、職業的な能力を磨けるもの
続いて専門的な資格取得などを目的とする専門実践教育訓練について見ていきましょう。
・受講開始時点で支給要件期間が3年以上
・受講開始時点で被保険者でない場合も支給要件期間が3年以上
・教育訓練経費の50%(5千円~40万円/年間)
・受講後定められた資格を取得し、受講終了日の翌日から1年以内に被保険者として雇用された場合は更に教育訓練経費の20%を支給
※最大3年間の訓練となる為最大給付金額120万円
受講終了日の翌日から1年以内に被保険者として雇用された場合最大給付金168万円
・介護福祉士
・看護師
・歯科衛生士
・栄養士
・社会福祉士
など、業務独占資格を取得するための講座
専門実践教育訓練は産後、育児中の女性にとってはかなりハードルが高くなりますが、こういった訓練を受けることで通常より安価にスキルを身につけることができます。
セカンドキャリアとして転職を視野に入れている方には挑戦しやすい制度です。
教育訓練給付制度について、詳しくは厚生労働省ホームページをご覧ください。
公共職業訓練(ハロートレーニング)
ここでは”離職者””求職者”に向けた職業訓練「ハロートレーニング」について解説します。
ハロートレーニングは、キャリアアップや希望する職種への就職を叶えるために必要なスキルを”無料で”習得できる支援制度です。(テキスト代は自己負担)
ハローワークでの求職者が対象となり、失業保険を受けられない人の場合は「職業訓練受講給付金」が受けられます。
1.ハローワークに求職の申込みをしていること
2.雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
3.労働の意思と能力があること
4.職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
出典:厚生労働省ホームページ
・職業訓練受講手当 10万円/月
・通所手当 職業訓練実施機関までの交通費(上限有)
・寄宿手当 10700円/月
・本人収入が月8万円以下
・世帯収入が月25万円以下
・世帯全体の金融資産が300万円以下
・現在の住まい以外の土地建物を所有していない
・すべての訓練実施日に出席している(やむおえない理由でも8割以上)
・同世帯に同時に給付金を受給して職業訓練を受けている人がいない
・過去3年以内に不正行為により特定の給付金の支給を受けたことがない
受講期間は3ヵ月~1年程度、受講できるコースはハローワークによって異なります。
一般的には簿記、医療事務、プログラミング、Webデザインなどがあり、昨今は女性専用コースも充実してきています。
ですが、職業訓練は基本的には基礎知識を身につけるものと思っておくといいでしょう。
セカンドキャリアとして転職への後押しにはなりますし、職業訓練で基礎を身につけてフリーランスとして仕事を受注しながらコツコツスキルを磨いていくのも一つの選択肢です。
まずは最寄りのハローワークに自信が身につけたいスキルの講座があるかを問い合わせてみましょう。
キャリアコンサルティング
キャリアコンサルティングとは、その人にとって望ましい職業選択や職業能力の開発及び向上を支援するプロセスのことを言い、それを専門的におこない、個々人の適性や職業経験によって職業設計をする人を「キャリアコンサルタント」と呼びます。
キャリアコンサルタントは2016年より国家資格として創設され、企業の人事、公的就業期間、教育機関、人材派遣会社など幅広く活躍しています。
「自分はどんな仕事がしたいのか、何が向いているのか分からない」
「スキルアップしたいが何から始めていいか分からない」
「資格取得のためになにをすべきなのか分からない」
など、セカンドキャリアを考えるときには悩みが尽きません。
キャリアコンサルティングを通じて、自分の適性や能力に気づくことができれば、主体的に職業や仕事を選んでいくことができるようになります。
セカンドキャリア構築のためには、自己理解が大切です。
キャリアコンサルティングによって自己理解を深め、潜在的な自身のニーズに気づき視野を広げていくことで、セカンドキャリアの選択肢が絞られていきます。
実際にキャリアコンサルティングを受けた方では9割以上の方が「役に立った」と回答しています。
また「仕事に対する意識が高まった」という回答が5割以上。「自分の目指すべきキャリアが明確になった」という回答が3割以上と、仕事に対して前向きに取り組めるようになり、自分の適性を理解できた方が大半を占めていることが分かります。
キャリアコンサルティングを受けたい方は、キャリコンサーチというサイトで地域や希望条件を指定して検索し、キャリアコンサルタントを探すことができます。
自分の適性や能力が分からず、セカンドキャリアで何を選択するべきか悩んでいる方は一度検討してみてはいかがでしょうか。
民間企業主催のセカンドキャリア構築プログラム
民間企業主催のセカンドキャリア構築プログラムでは、独立・起業支援をしている会社もあります。
自ら起業している専門のコンサルタントが事業計画作成、資金調達、公的な支援制度、マーケティングなど、起業するために必要なことをトータルでサポートしてくれるプログラムです。
また、国家資格であるキャリアコンサルタントを保有した専門家が専任となり、再就職支援もおこなっています。
キャリアコンサルティングで自身の強みに気づけるだけでなく、その後の面接指導や求人の開拓などもサポートしてくれるので安心です。
支援はあくまでも一時的。理想のセカンドキャリア形成は「軸」をしっかり持って
女性のキャリアは、結婚、出産、育児など様々な人生のイベントによって中断してしまいます。
その時々で女性は、自身の環境や置かれた状況でどのようにセカンドキャリアを構築していくかを判断していかなければいけません。
「子どもが小学生になるまでは家庭を優先にしたい」
「転勤族の夫にずっとついていきたい」
「家庭のことはパートナーと協力してバリバリ働きたい」
など、人によって今後のキャリアプランやライフプランは異なります。
第二の人生とも言えるセカンドキャリアを自分の理想通りに構築するには、「何のためにセカンドキャリアを築くのか」「セカンドキャリアを築いた先でどうなりたいのか」しっかりとした「軸」を持つことが大切です。
セカンドキャリア支援制度は様々あり、自分一人で決められないことでも第三者の支援によって動き出せることもあるでしょう。
ですが最後に重要になってくるのは自身の行動力と継続力です。
転職、起業、フリーランス、どれを選んでも行動しないことにはセカンドキャリアはスタートをきれません。
自分の思い描いたセカンドキャリアを実現するために、支援を利用しながら思い描いたビジョンを実現するために行動していきましょう。
まとめ
セカンドキャリア構築と聞くと難しいようにも感じますが、自身のキャリアプラン、ライフプランを見つめ直しこれからの人生、どのように仕事をしていきたいかを考えるというのはとても大切なことです。
セカンドキャリアを充実したものにする為には、早めの行動、そして自分の軸を持つことが重要です。
今の自分と向き合い、どんな仕事をどんな風にしていきたいかをしっかりと形にしていきましょう。
セカンドキャリアと言えども一度決めて終わりではありません。
都度環境の変化、心の変化によって変えていくことも必要になるでしょう。
その時に、このセカンドキャリアを考え行動したことが活きてくると思います。
支援制度を利用したり周りに頼りながら、自分の思い描いたセカンドキャリアを実現していきましょう。