シングルマザーに大きくのしかかってくる、子どもと生活していくだけの生活費、子どものための教育費、自分自身の老後資金など、経済的な問題に悩まされている方は多いのではないでしょうか。
小さな子どもを育てながら仕事をしなければならないシングルマザーは、働き方にも悩みますよね。
この記事では世の中のシングルマザーはどんな仕事をしているのか、また正社員とパートではどれくらい違いがあるのかについて解説しています。
加えて、シングルマザーの仕事の探し方や仕事の選び方など、仕事をする際に心がけることもまとめました。
仕事に悩んでいるシングルマザーの方はぜひ参考にしてください。
シングルマザーはどんな仕事をしている?
世の中のシングルマザーはどんな雇用形態が多く、どんな仕事に就いている女性が多いのでしょうか?
また、シングルマザーがどれくらいの収入を得ているのかも気になりますよね。
ここでは厚生労働省のシングルマザーに関するデータをもとに
・シングルマザーの雇用形態
・シングルマザーの仕事内容
・シングルマザーの収入
の3つを、それぞれ解説します。
シングルマザーの雇用形態は?
厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、シングルマザーの世帯のうち81.8%が就業しており、その内「正規の職員・従業員」が44.2%、「パート・アルバイト等」が43.8%となっています。
「正規の職員・従業員」と「パート・アルバイト等」の割合の差は0.4%と大きな差はなく、世の中のシングルマザーにはこれら二つの選択肢が主であることが分かります。
シングルマザーの仕事内容は?
続いてシングルマザーの仕事内容について見ていきましょう。
厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、シングルマザーの「正規の職員・従業員」の場合は下記の割合となっています。
事務 31.7%
専門的・技術的職業 30.5%
サービス職業 14.6%
販売 5.8%
管理的職業 3.9%
保安職業 0.3%
正規の職員・従業員の場合、「事務」「専門的・技術的職業」で半数以上の割合を占めています。
専門的・技術的職業というと、幅広い職種ですが、看護師や保育士など女性が多い専門的な職業も含まれると考えられます。
このように女性が多い職場というのは、シングルマザーが正社員として働きやすい環境であると言えるでしょう。
次に「パート・アルバイト等」の仕事の割合は下記です。
サービス職業 32.8%
事務 15.2%
販売 12.7%
専門的・技術的職業 11.2%
管理的職業 0.5%
農林漁業 0.3%
正規の職員・従業員とは違い、サービス職業が3割を占めています。サービス職業は飲食店やスーパーなどの接客業など、主婦に人気の職種も含まれるでしょう。
次に事務、販売と続いています。事務は正規の職員・従業員でも高い割合であったことから、女性にとってハードルが低く、働きやすい環境であるといえるのではないでしょうか。
シングルマザーの収入は?
シングルマザーの収入は一般的にどれくらいなのでしょうか。
厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室が出している令和元年度 母子家庭の母及び父子家庭の父の 自立支援施策の実施状況から、平成27年度のシングルマザー家庭の収入についてグラフにまとめました。
グラフを見てみると、100~200万円未満の家庭が多く、次に100万円未満が続きます。
シングルマザー世帯の平均就労収入は200万円となっており、グラフから見ると、中央値も200万円前後となるでしょう。
これらは就労収入のみであるため、実際にはここに児童扶養手当が加算されます。(児童扶養手当は受給要件があるため、各自治体にご確認ください)
正社員とパートの違い、メリットデメリットを知ろう
上記でわかったシングルマザーの雇用形態は主に正社員とパートであることから、ここでは正社員とパート、それぞれのメリットデメリットについて解説します。
自分の状況や優先すべきことを整理して、どちらの雇用形態で働くべきかを考えてみましょう。
正社員のメリットとデメリット
正社員は、収入や雇用の安定が大きなメリットとしてあげられますが、仕事へのリソースが大きいことは正社員のデメリットと言えるでしょう。
下記で詳しく見ていきます。
メリット①収入も雇用も安定している
これから一人で子どもを育てなければいけない、と思っているシングルマザーにとって、収入も雇用も安定していることは大きな安心につながります。
長期休暇があっても月の収入に増減がないこともうれしいポイントですよね。
メリット②会社の業績が良ければボーナスがある
正社員だと、会社の業績が良ければボーナスが支給されることがほとんどです。
シングルマザーの場合、月の収入だけでは生活するだけで精一杯だとしても、ボーナスを貯蓄に回すことができれば将来への不安も軽減されるのではないでしょうか。
メリット③福利厚生が充実している
正社員は福利厚生が充実しています。社会保険に入れたり、扶養手当や資格手当、住居手当など、各種手当が充実している会社もあるでしょう。
安定した給与以外にもこれらの手当てや制度によって経済的な安心感が得られます。
デメリット①シフトの融通がききにくい
正社員のデメリットはシフトの融通がききにくく、休みづらい点があげられます。
子どもの看病や行事などで休みを取りたくても、正社員の場合、仕事の予定変更はしづらい傾向があります。
デメリット②仕事の責任が重い
パートやアルバイトと違い、正社員の仕事の範囲は広く責任も重くなるでしょう。
その為パートなどに比べると休みづらくもなりますし、残業や休日出勤の可能性もあります。
パートのメリットデメリット
続いてパートの場合はどうでしょうか。
正社員とは逆で、仕事に対して余裕はあれど、経済的な面でのデメリットが大きいです。
一つずつ見ていきましょう。
メリット①シフトの融通がききやすい
シフトの融通がききやすいところはパートの大きなメリットです。
子どもが小さいと、体調を崩したり、行事の予定もあるでしょう。そういった時にも休みやすく理解も得やすいことが多いです。
メリット②短時間勤務で時間の余裕がある
フルタイムの正社員に比べて短時間のパートであれば、時間の余裕があり体力的にも精神的にも負担が軽いです。
ただでさえ家事や育児で体力や精神力を削られるシングルマザーにとって、時間の余裕はとても大切な要素でしょう。
メリット③仕事の責任が軽い
基本的にパートであれば大きな仕事を任せられることもないため、仕事の責任は軽くなります。
急なお休みであっても、代わりがきく仕事が多いのでその点は休みやすさにつながるでしょう。
デメリット①収入や雇用が安定しない
パートのデメリットとして大きなものが、収入や雇用が安定しにくいことです。
時給制のため、休んだ分だけ給料が少なくなります。長期休暇や子どもの体調不良が長引いてしまうと、その分収入が減ってしまうのは、シングルマザーにとって負担が大きいのではないでしょうか。
また、勤務時間などにもよりますが、福利厚生の面でも充実度が低いです。
デメリット②収入が少ない
パートは一般的に1000円以下の求人が多く、子どもを一人で養いながら生活していかなければいけないシングルマザーにとっては厳しいといえるでしょう。
収入が少ないことで、教育費や老後資金など、不安も増えてしまいます。
シングルマザーが仕事を選ぶポイント
上記を踏まえて、シングルマザーが仕事を選ぶときのポイントを解説します。
これらのポイントを意識して仕事を探すことで、雇用されてからのミスマッチを防ぐことができます。
生活していけるだけの給与が得られる
給与面はシングルマザーにとって大きなポイントです。
まずは自分と子どもでどれくらいの生活費が必要なのかを知っておく必要があります。
その上で、母子ともに生活していけるだけの給与がもらえるところは最低条件です。
ですが、シングルマザーの場合、就労収入だけでなく児童扶養手当などが支給される可能性もあるため、それらを加味して考えてもよいでしょう。
まずは自分たちの生活費。国や自治体の制度を確認することも仕事探しの前には大切なことです。
通勤時間はなるべく短時間に
子どもが小さければ保育園の送り迎えもおこなわなければいけません。
通勤時間が長いだけで、親にとっても子どもにとっても負担が大きいです。
なるべく自宅近く、または保育園の近くで仕事を探すようにしましょう。
通勤時間を短くしておくだけで、気持ちの余裕もまったく違いますし、帰宅後の体力にも余力を残しておくことができます。
勤務時間には無理がないか
勤務時間ももちろんですが、残業の有無も事前に確認しておく必要があります。
子どものお迎えがある場合、時間の制限がありますし定時退社後急いで迎えに行かなければいけない環境は気持ちが急いてしまいます。
少し気持ちに余裕を持つためにも、勤務時間は無理のない時間を選びましょう。
子育てに対して理解があるか
シングルマザーの場合、子どもが体調を崩した時、保育園の行事の時にも休まなければいけません。
子育てに理解のない会社で働いてしまうと、そういった時に休みづらくなります。
「主婦が多い職場であるか」「産休育休取得実績が多いか」などを基準に探してみるとよいでしょう。
シングルマザーの仕事はどこで探す?
それではシングルマザーの仕事はどこで探せばいいのでしょうか。
基本的には一般的な主婦の求人と変わりませんが、効率よく仕事を探すためにいろいろな方法を試してみましょう。
ハローワーク
昔から仕事探しの定番、ハローワークには登録しておくことがおすすめです。
ハローワークに登録されている情報は自宅からネットでも探せますし、反対に仕事探しが不安だという方には対面で相談しながら探すこともできます。
また、ハローワークでは求職者向けの講座や、履歴書の添削なども受けることができるため、仕事探しに慣れていないシングルマザーの方でも安心して仕事探しが可能です。
マザーズハローワークも
ハローワークの中には、マザーズハローワークという、ママに特化したハローワークもあります。
「出産を機に退職したが、その後復帰したいママ」「育児と仕事を両立できる仕事を探したいママ」が集まる場所です。
キッズコーナーがあったり、社会保険や扶養控除などのセミナーが受けられたりと普通のハローワークにはない特徴があります。
求職サイト
今はネット上にたくさんの求職サイトがあります。
地域、時間、給与、他条件をこまかく指定して探すことが可能ですし、ネット上で履歴書作成、職務経歴書作成、応募まですべて完了できるため、忙しいシングルマザーの方にも最適です。
こちらから応募するばかりではなく、プロフィールや職歴を登録しておくことで企業からオファーが来るサイトもあります。
たくさんの求人サイトがあるので、まずはいくつか登録してこまめに自分に合った仕事を探してみましょう。
転職エージェント
正社員として働くことを希望する場合は、転職エージェントで仕事を探すことも視野に入れるとよいでしょう。
転職エージェントは無料で利用でき、転職できるまでを丁寧にサポートしてくれます。
転職に関するプロが、履歴書の添削、面接の仕方、自己PRの方法などをレクチャーしてくれるため、それらにつまずいている方はぜひ積極的に利用しましょう。
派遣会社
正社員やパート以外に、派遣社員という選択肢もあります。
シングルマザーが正社員として働くにはまだまだハードルが高い世の中です。
そこでパートよりも稼ぎたい、という方に最適なのが「派遣」です。派遣社員はパートよりも時給が高いことが多く、専門性が高くなると時給2000円程度の仕事もあります。
また派遣社員には、初回予定派遣といって、3か月~6か月の間派遣社員として勤務し、その後双方の合意があれば正社員へ登用される制度もあります。
正社員を目指したい方はこういった制度を活用してみてもいいのではないでしょうか。
シングルマザーの働き方|起業するという選択肢も
シングルマザーは雇用されて働くことが安定ととらえるかもしれませんが、スキルを身につけて起業し、フリーランスとして働く選択肢もあります。
在宅ワークで起業できる仕事はたくさんありますし、スキルによってはパートより、もしくは正社員で働くよりも収入を伸ばしていける可能性があります。
「起業」と聞くと難しい気がしますが、今は週末だけ自分の事業で働く「週末起業」や、本業の仕事をしながら副業として起業する「副業起業」も注目を集めています。
まずは無理のない範囲で、リスクを小さく、範囲も小さく起業して働いてみるのも一つの手ではないでしょうか。
早めに副業をしてスキルを身につけておくことで、将来的に安定につながる可能性も高いです。
事業を伸ばせるタイミングで仕事の幅を広げることができれば、比例して収入も増やすことができるでしょう。
シングルマザーの起業についてはこちらの記事にまとめています。
シングルマザーの起業に向いている仕事は?必要な知識と注意点も知っておこう
シングルマザーにおすすめの副業についてはこちらです。合わせてごらんください。
シングルマザーにおすすめの副業|副業をする際に気をつけたい5つのポイント
まとめ
シングルマザーは、家事や育児だけでなく経済面も一人で支えていかなければいけません。
どんな仕事をしたらいいのか、どんな仕事に就けば安心して生活できるのか、など不安は尽きないと思います。
子どもが小さい頃はパートで働きながら余力を残しておいて、副業や勉強に時間や体力を使うことも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
スキルを身につければ正社員での雇用や、フリーランスで働くことも現実的になってきます。
子どもと無理なく暮らしていけるよう、あなたの仕事の最適解が見つかりますように。