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シングルマザーが貧困から抜け出すために制度を活用して働き方を考えよう

現代の日本では「3組に1組が離婚している」と言われるほど、離婚率が上昇しています。

厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯は123.2万世帯、父子家庭世帯は18.7万世帯です。

シングルマザーとなった家庭は、それまで経済的に支えあっていた夫の存在がなくなってしまうため、貧困に陥ってしまう例が少なくありません。

この記事では、シングルマザーが貧困層と言われている理由、シングルマザーを救ってくれる制度や働き方について解説します。

「これからシングルマザーになろうと決意している」

「シングルマザーになってしまい不安」

という方はぜひ参考にしてください。

 

シングルマザーは貧困層?ひとり親世帯の現実

シングルマザーは、それまで経済的に支えあってきたパートナーと別れ、家計を一人で支えていかなければいけません。

一般的に見ても男性の方が収入が高い傾向があるため、その面からも女性が一人で働いて暮らしていくことが大変であることがわかるでしょう。

ここでは、厚生労働省の調査結果をもとに、シングルマザーの現状について詳しく見ていきましょう。

 

シングルマザーの雇用形態

厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、シングルマザー世帯のうち81.8%が就業しています。

81.8%のシングルマザーの雇用形態は「正規の職員・従業員」が44.2%、「パート・アルバイト等」が43.8%、「自営業」が3.4%です。

就業しているシングルマザーのうち、「正規の職員・従業員」「パート・アルバイト」が主な選択肢となっていることがわかりますね。

 

一方シングルファザーは85.4%が就業しており、「正規の職員・従業員」が68.2%、「パート・アルバイト」6.4%、「自営業」が18.2%です。

男性は「正規の職員・従業員」「自営業」で8割以上であることから、収入の安定さはうかがえます。

パート・アルバイトという、収入が伸びづらい就業状況にあるシングルマザーが半数近くもいることから、シングルマザー家庭の貧困状況が見えてきました。

 

シングルマザーの詳しい仕事内容については下記の記事で解説しています。

シングルマザーの仕事はどんな職種が多い?働き方や仕事探しのポイントとは

 

シングルマザーの年収

厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室が出している令和元年度 母子家庭の母及び父子家庭の父の 自立支援施策の実施状況によると、

シングルマザー世帯の平均年間就労収入は「200万円」

一方でシングルファザー世帯の平均年間就労収入は「398万円」です。

ここでも母子世帯と父子世帯で、200万円近くの差があることがわかります。

 

シングルマザーの貯蓄額

こちらは厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」からシングルマザー世帯の貯蓄額をグラフにまとめました。

上記のグラフを見てみると、預貯金50万円未満のシングルマザーが約4割を占めていることが分かります。

預貯金50万円未満で子どもと共に暮らしていくのは精神的にもしんどいですよね。

この預貯金の少なさも、シングルマザー家庭に貧困世帯が多いと言われる一つの所以でしょう。

 

シングルマザー家庭に貧困が多い理由

それではなぜシングルマザー家庭は貧困と言われることが多いのでしょうか。

それは、これまで解説してきた「雇用形態」「年収」などが理由として挙げられます。

シングルマザー家庭が貧困に苦しめられている理由を一つずつ見ていきましょう。

 

正社員での雇用が難しい

シングルマザーが貧困に陥る理由として、正規雇用が難しいというのは大きな理由の一つでしょう。

上記で解説した通り、シングルマザーの正規職員としての雇用率は44.2%と半数にも満たないため、この問題は深刻です。

シングルマザーの正規雇用が少ない現状については、産後の働き方が理由の一つとして考えられます。

男性は子どもが産まれても正社員として働き続ける場合がほとんどですが、女性は子どもを産んだら育児と仕事の両立が難しくなり、パートや専業主婦になる人も多いです。

30代~40代の小さな子どもがいるとなると、その後正社員の職に就くことは難しくなります。シングルマザーともなればその傾向はより顕著になるでしょう。

昨今ではママでも働きやすい環境づくりは進んでいますが、それでもまだシングルマザーが容易に正規雇用を選べるような環境ではないことは確かです。

 

子どもが小さいうちでの離婚が多い

シングルマザーになる女性は、まだ子どもが小さい場合が多いです。

厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、シングルマザーの平均年齢は33.8歳であり、末っ子の平均年齢は4.4歳です。

未就学児がいる場合、就労時間が限られますし、まだまだ育児に手もかかります。

その為「長い時間働けない」「子どもに手がかかる」という理由から、シングルマザー自身も正規雇用を選びにくい、企業側も正規雇用しづらいという状況になっていると考えられます。

 

昇進が難しい

もしシングルマザーが正規雇用されていたとしても、昇進することは容易ではないでしょう。

子どもが小さいうちは家事や育児に時間を取られます。

子どもの保育園や学童のお迎え時間が決まっているので、必然的にシングルマザーは残業することも難しくなります。また時間外にある会議などの参加も難しいでしょう。

その為社内での評価を上げることが困難になり、昇給や昇進にはつながりにくくなります。

 

養育費がもらえない

離婚した相手となる父親から受け取る権利がある養育費ですが、実際には養育費をもらえていないシングルマザーが多くいるのが現状です。

厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、養育費を受けているシングルマザーのは24,3%と、受け取る権利があるにしてはかなり低い割合であることが分かります。

養育費を受け取るためには、この父親と養育費に関しての取り決めをしなければいけません。ですがその取り決めをしないがために養育費を受け取れないことが多くあるのです。

養育費の取り決めをしない主な理由としては「相手と関わりたくない」「相手に支払う能力がないと思った」「相手に支払う意思がないと思った」などがあります。

養育費は子どもを育てるために必要ですが、離婚する相手とこれ以上揉めるのは嫌だと考える女性が多いようです。

更には養育費をもらおうと思っても「養育費未払いに対する強制徴収措置がとれない」「給料を差し押さえするための手続きが煩雑」などの理由もあり、養育費に関しては制度や手続き面に関しての課題も多いのが現状です。

 

シングルマザーが貧困が原因で悩むこと

それでは貧困と言われるシングルマザーは具体的に何に悩んでいるのでしょう。

貧困は、生活に直結するため様々な問題が巻き起こります。

子どもがいるとより経済的な悩みから派生していく問題は多くなるでしょう。

 

教育費や老後資金への不安

シングルマザー世帯の預貯金額は上で解説した通り、4割近くが50万円以下であることから、シングルマザー世帯は貯金を増やすことが困難であることがわかります。

子どもがいると、強制的に「教育費」がかかります。

高校無償化制度の受給資格を得ることができれば、高校の授業料は実質無償にすることもできるでしょう。

ですが、学校に通うことでかかる費用は、授業料だけではありません。

・入学金
・教材費
・制服代
・部活動費

など、授業料以外にも必要です。

保育園または幼稚園から10数年間、こういった子どものために必要な費用を捻出し続けることはシングルマザーにとって負担が大きいでしょう。

 

また、老後資金についても同じく悩みが多いです。

自分の老後を穏やかに過ごすためには、働かなくても暮らしていけるほどの資金が必要です。

ですが働き盛りの時期に預貯金が十分にできないシングルマザー家庭にとって、老後資金を準備しておくことは必要だとはわかっていても優先度が下がってしまいます。

 

教育や医療の格差

経済的に余裕がないと、学力も低下するという研究もあるほど、経済力は子どもの学力に影響すると言われています。

また、学校教育の他に塾に通わせたり、家庭教師をつけることが難しいシングルマザー家庭においては、場合によっては更に周りとの学力の差ができてしまうでしょう。

更に貧困により、高校進学や大学進学をあきらめざるをえないこともあり、そうなってしまうとその子どもがまた正規雇用されにくくなります。

こうして貧困が子どもにも連鎖していくケースも少なくありません。

そしてこの格差は教育だけでなく医療にまで派生します。

けがや病気をしても、お金がかかるからと病院へ行くことを拒む人も少なくないのです。

定期健診などに行く機会もないというのは子どもの健康に対して大きな問題となります。

 

食べ物に困る

更に貧困家庭では食べ物に困ることも。

単にお金がないから、というだけでなく、忙しく働いていると総菜やコンビニ弁当の頻度が多くなり、子どもの健康にも影響を与えかねません。

栄養バランスだけでなく、外食や買い物が多くなることで家計へのダメージも大きくなることで、なかなか貧困から抜け出せない、という悪循環に陥ってしまいます。

 

シングルマザーを貧困から救う制度

そんな貧困に苦しむシングルマザーを救う制度が日本にはたくさんあります。

制度を知っているのと知らないのとでは、かなりの格差ができます。

まずは制度を知り、活用することが大切です。シングルマザーが活用できる制度を詳しく解説します。

 

子どもがいる家庭が受けられる制度

シングルマザーに限らず、子どもがいる家庭が受けられる制度です。

児童手当

児童手当は0歳から中学3年生までの子を養育している人に支給される手当です。

年齢によって支給される金額が違います。

・3歳未満は一律15000円
・3歳以上~小学校修了前は10000円
 (第3子以降は15000円)
・中学生の間は一律10000円

児童手当は子を養育していれば支給されますが、必ず申請が必要です。

毎年6月、10月、2月に4か月分の児童手当がまとめて振り込まれます。

 

医療費助成制度

この制度は子どもの医療費を助成する制度で、自治体によって要件が異なります。

0歳から中学生を対象にしている自治体もあれば、0歳から小学生まで、という自治体もあります。

また、助成される金額も自治体によって異なります。

 

シングルマザー(ひとり親世帯)が受けられる制度

次にシングルマザー及び、ひとり親世帯が受けられる制度です。

児童扶養手当

シングルマザーの場合、児童手当とは別に「児童扶養手当」も支給されます。

支給要件はこちらです。

・18歳に達する日以後最初の3月31日までの児童を監護する
・20歳未満、かつ政令で定める程度の障害がある児童を監護している

つまり0歳から18歳になって最初の3月31日を迎えるまでの児童を育てている家庭が受給できます。

支給される金額は、親の所得や扶養している子どもの人数によって決められ、年度によっても左右されます。

児童育成手当

児童育成手当は、児童扶養手当と同じくひとり親世帯に支給される手当です。

児童扶養手当の所得制限が「世帯」であるのに対して、児童育成手当の所得制限は「親」のみなので、所得制限に引っかかる可能性が低いことが違いとして挙げられます。

支給額は児童一人につき、月額13500円ほどです。

自治体によって支給額に違いがある場合もあるため、まずは窓口で確認してみましょう。

 

母子・父子家庭の住宅手当

住宅手当は、ひとり親世帯で賃貸に住んでいる場合にのみ適用されます。

ただしこの制度は自治体主体の制度であり、自治体によっては制度がない場合もあるため注意しましょう。

支給額としては月額5000円~10000円程度の自治体が多いようです。

所得制限も自治体によって異なるため、こちらもまずは窓口で確認する必要があります。

 

ひとり親家族等医療費助成制度

0歳から18歳になって最初の3月31日を迎えるまでの児童がいるひとり親家庭が対象の助成制度です。

保険診療の一部、または全額を助成してくれます。

ただし、先にご紹介した医療費助成制度は病院の支払い時に助成されるのに対して、ひとり親家族等医療費助成制度は先に医療費を支払い、あとで窓口に申請するという流れです。

こちらも自治体によって助成される範囲や所得制限が異なるため、窓口で確認しましょう。

 

シングルマザーが貧困から脱するためには

これまで、シングルマザーの現状や、貧困から見えてくる悩み、支援や助成制度についてご紹介してきました。

それではシングルマザーが貧困から抜け出すためにはどうすればいいのでしょうか。

シングルマザーの場合、悩みのほとんどが「経済的なこと」に直結します。

その為下記の2点に着目することで、貧困から抜け出せる可能性が高くなります。

・制度を知り、活用すること
・働き方を考える

 

制度を知り、活用する

シングルマザーになったら、まずは国や自治体で受けられる制度を知ることが大切です。

上でもご紹介した通り、シングルマザーが受けられる制度はたくさんあります。ですが制度は知らなければ受けることができないのです。

まずは制度を知ることから初めて、自分が申請できるものは余すことなく受け、教育や医療の格差をなくしていきましょう。

 

働き方を考える

シングルマザーは正規雇用されにくい現状があるため「雇用される」以外の選択肢も視野に入れておくとよいでしょう。

本業でパートなどで収入を得ながら「勉強して資格を取る」「副業をしてスキルを磨く」などをしておくことで、今後安定収入や安定雇用につながる可能性が高くなります。

シングルマザーでも、あなたを雇用するメリットが大きければ企業も受け入れてくれることが多いです。

また企業に雇用されなくても、フリーランスとして在宅で働く、起業して自分の好きなことで収入を得ることも、スキルを身につければ難しいことではありません。

シングルマザーにおすすめの副業についてはこちらの記事で解説しています。

 

シングルマザーにおすすめの副業|副業をする際に気をつけたい5つのポイント

 

主婦が独学でも取得できる資格についてはこちらの記事をご参考ください。

 

主婦が資格を独学で取得するなら?役立つ資格8選と取得のポイント

 

まとめ

子育てや家事をしながら、仕事との両立に悩まされているシングルマザーはさらに貧困問題も抱えています。

貧困によって子どもの教育や医療の格差、貧困の連鎖など、断ち切ることが難しい問題が起こってしまい、さらに自分を追い詰めてしまうママも少なくありません。

ですがきちんとシングルマザーが受けられる制度を知り、活用することで周りとの格差を縮めることができます。

また、今後子どもを育てながらも働き続けなければいけないことを考えると、長い目でどんな働き方をすべきかを考えていく必要があります。

子どもが小さいうちは制度を余すところなく活用しながら、スキルを身につける道を模索してみてはいかがでしょうか。

「在宅勤務で子どもの側で働ける!」「スキルを身につけて正社員になれた!」など、あなたと子どもにとって輝かしい未来が待っているかもしれません。

 

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