「仕事はしたいけれど、家庭との両立が難しい」
そう悩んでいる主婦の方は多いでしょう。
限られた時間の中で仕事をして、その上、主婦業もこなすことができるだろうか?
仕事をすることで家庭(家事や育児)が疎かになってしまわないだろうか?
体力的・精神的にどのくらい負担がかかるのだろう?
そんな不安があるがゆえに、仕事復帰に躊躇してしまう主婦の方は大勢いらっしゃいます。
そこでこの記事では、世間の主婦が抱く家庭と仕事の両立が難しいと感じるポイントや、両立するためのコツをまとめてご紹介します。
ご自身が望むライフスタイルを送るために、ぜひ参考にしてみてくださいね。
主婦業と仕事の両立、難しいポイントはどこ?
厚生労働省が、平成30年度に委託しておこなった「仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書労働者アンケート調査結果」があります。
それによると、女性の半数弱が第一子出産を機に離職し、かつ正社員と非正社員との間では就業継続率に大きな差があります(正社員:69.1%、パート・派遣:25.2%)。
また、男性の育児休業取得率はまだまだ低いことなど、女性が仕事と家庭の両立に向けた希望と現実のギャップは未だに大きいままです。
具体的に、主婦業(家事や育児)と仕事の両立が難しいと感じるポイントはなんでしょう?
職場の理解が得られない
(画像引用:厚生労働省委託調査 仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書)
調査結果によると、女性の正社員や契約・派遣社員、パートの方が、両立の難しさを感じて仕事を辞めた理由で最も多かったのは「育児と両立できる働き方ができなさそうだったから(できなかった)」ということでした。
次いで、「勤務時間があいそうもなかったから(あわなかった)」「職場に両立を支援する雰囲気がなかったから」という理由がありました。
子どもの体調不良や学級閉鎖などによって急に仕事を休まなければいけなくなったり、参観日には早退させてもらいたいといった場合、職場の理解が必要です。
しかし、実際は嫌な顔をされるなど、理解や協力が得られないこともあるのが現状です。
実際、次のような調査結果も出ています。
(画像引用:厚生労働省委託調査 仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書)
妊娠出産をし、育児休業をとった後、「仕事ぶりを評価されにくくなった」「給与や待遇が仕事内容に見合わなくなった」「部署が変わった」「任される仕事の量が減った」など、職場の対応に対してこのような不満を抱いたという結果が出ています。
特に、男性社員ばかりの職場や、独身で子育て経験がない上司が多い職場だと、子育てに対しての理解が得られにくいケースも多いです。
家事や育児の分担ができていない
この数年で「ワンオペ」「イクメン」というワードをよく耳にするようになりましたよね。
共働きにもかかわらず育児はすべて母親にまかせっきりという、いわゆるワンオペ育児の家庭が多く、”育児や家事は女性がするもの”という概念がいまだに日本に残っています。
先ほどと同じ厚生労働省の委託調査結果を見てみましょう。
(画像引用:厚生労働省委託調査 仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書)
子育ての分担についての調査結果です。
男性の正社員では、「自分が少し担い、配偶者・パートナーなどがほとんど担う」が 49.1%でもっとも回答割合が高いです。
次いで「自分が半分程度、配偶者・パートナーなどが半分程度担う」が 21.3%。
女性の正社員では、「自分がほとんど担い、配偶者・パートナーなどが少し担う」が 50.8%でもっとも回答割合が高く、次いで「自分一人でほぼすべてを担う」が 23.1%となっています。
女性の非正社員では、「自分がほとんど担い、配偶者・パートナーなどが少し担う」が 50.9%でもっとも回答割合が高く、次いで「自分一人でほぼすべてを担う」が 27.7%。
男性が自分一人で担うという割合は3.8%と、とても少ないことがわかります。
2010年に、”積極的に子育てを楽しみ、自らも成長する男性”=イクメンを増やそうと、厚生労働省による男性の子育て参加や育児休業取得促進などを目的とした「イクメンプロジェクト」も始動され、2020年には、小泉進次郎環境相が育児休暇を取得したニュースが記憶に新しいかと思います。
閣僚が率先して育児休暇を取ったことにより、世の中の流れが変わることを期待されていますが、主婦が仕事をするためには、男性の育児への関心や協力が重要となります。
また、家事の分担に関しての厚生労働省の調査結果を見てみると・・・
(出典:厚生労働省 平成29年版労働経済の分析-イノベーションの促進とワーク・ライフ・バランスの実現に向けた課題-)
共働きの夫婦でも、妻が夫よりも家事をしている時間が約17倍ほど多いという結果が出ています。
”家事は女性がするもの”という意識がまだ根強く残っていることが見受けられます。
このように、家庭内で家事や育児の分担ができていないため、仕事を諦めている主婦が多いのです。
家事も育児も仕事も、バランス良くこなすためのコツは?
では、主婦業(家事や育児)に加えて仕事もおこなうためには、どのようなことが必要なのでしょう?
家事、育児、仕事の3つに分けて、効率的にこなすためのコツをご紹介します。
家事
①家事代行サービス
②時短
③パートナーと分担
①家事代行サービス
子育てと仕事の両立を目指す女性が増え、家事代行サービスの普及が広がっています。
家事代行サービスとは、プロが代わって家事全般をおこなってくれるサービスです。
- ・部屋の片づけや掃除機がけ
- ・食器洗い
- ・料理
- ・水回り(キッチン、お風呂、洗面台など)の掃除
- ・洗濯
- ・アイロンがけ
- ・庭の掃除
- ・靴磨き
- ・日用品の買い物
など、サービス提供会社によって多少異なりますが、このような家事全般を代わりにおこなってくれます。
家事代行サービスは、一般的には1時間あたり2,500円~3,500円程度で、最低利用時間が2時間以上がほとんどなので、一回あたりの料金としては5,000円~7,000円程度が相場と言われています。
家事を代行してもらうことにより、家事に費やしていた時間を”自分の時間”に使うことができるので、体力的・精神的にも主婦の負担を減らすことができます。
②時短
主婦業をしながら仕事をする場合、特に時間管理が難しくなります。
育児の時間、仕事の時間、家事の時間と、あっという間に1日を終えてしまいます。
そこで大事なのが、家事の時短化です。
できるだけ家事を楽にすることで時短化ができ、限られた時間の中に余裕を持たせることができます。
例えば、毎日の料理の献立をパターン化して、考える時間を減らしたり、休日に作り置きをして冷凍ストックを用意する、使う食器をワンプレートにして洗い物を減らす、などのテクニックがあります。
作り置きが面倒な場合は、あえて多めに料理することで、残った分を冷凍保存したり、翌日のおかずに回すといった方法もあります。
洗濯に関しては、なるべく洗濯回数を減らすことがポイントです。
家族の人数にもよりますが、洗濯物が溜まってきたタイミングで洗濯をし、まとめてコインランドリーに持って行くと、日々の洗濯の手間が省けます。
また、洗濯物を干したハンガーのまま収納すると畳む手間も省くことができます。
掃除も、わざわざ掃除の時間を設けず「ついで掃除」「ながら掃除」を心がけるといいでしょう。
汚れが気になった時に、フローリングワイパーなどで掃除をしたり、歯磨きのついでに洗面台を磨くなど、なにかをするついでに掃除をする習慣を身につけることで、きれいな状態も保たれやすく、掃除の時短に繋がります。
他にも、ロボット掃除機を活用することもおすすめです。
③パートナーと分担
共働きの夫婦は特に、家事や育児を分担することが必要です。
お互いに仕事をしているからこそ、家庭のことは公平に分担すべきなのですが、妻側が「自分ひとりで家事や育児をしなければいけない」という強迫観念を持っていたり、夫側も「妻にやってほしい」と思っている場合は、公平に分担することは難しいでしょう。
しかし、そのままだとどうしても妻側の負担が大きくなってしまいます。
そこで大事なのが、家事や育児に対する考え方を変えることです。
「自分ひとりでやることではない」「協力しておこなうもの」という意識をお互いにもつことがポイントです。
そのためにまず、家事や育児のリストを作成してみましょう。
毎日おこなう家事や育児の項目を書いていき、お互いにそれぞれがやるべきこと、やりたいことを分けていきます。
そして、残った項目に関しては必要な人がおこなう、といったように役割分担をします。
リストアップして目視で確認できるようにすることで、お互いに意識を高めることができます。
なにより、会話やコミュニケーションが重要です。
夫婦がお互いに家事や育児を押し付けるのではなく、感謝しながら協力しあうことが大切です。
育児
①地域のサポートを活用
②周りの協力を得る
①地域のサポートを活用
仕事をしたいと考えている主婦たちの中で、一番ネックになるのが育児との両立ではないでしょうか。
「子どもの病気などで仕事を休むと、職場に迷惑がかかる」
「自分の準備に子どもの送り迎え、それから仕事をして帰宅後は家事・・・体力的にもこなせるだろうか」
といった悩みを抱えている女性はたくさんいます。
そんな悩みを解決するために、自治体によっては地域のサポートシステムが備わっています。
各家庭の経済状況や生活スタイルに合わせて選ぶことができます。
また、育児の悩み事を無料で相談できるサービスをおこなっている自治体も多いです。
このような地域のサポートを利用することも、育児と仕事を両立させるためには必要でしょう。
②周りの協力を得る
仕事中、子どもが急に熱を出したためお迎えに行かなければいけないなどの事態になることも多いです。
そんな時に助けてもらえる協力者の存在が重要です。
まずは家族、義理の両親に協力してもらえるようにお願いし、家族や義理の両親が近くにいない場合は、ご近所さんや友人など、協力してくれる人を見つけておきましょう。
仕事
①両立支援制度を活用する
②働きやすい職場を選ぶ
①両立支援制度を活用する
両立支援制度とは、企業が従業員の仕事と家庭(育児や介護)の両立を支援するための制度です。
従業員が子どもを産み育てながら仕事を続けるため、また、親の介護をおこないながら仕事を続けるために、休業制度や働く時間に柔軟性をもたせるなど、働きやすい環境作りのための取り組みです。
具体的には、以下のような制度があります。
【産前・産後休業】
産前休業は、出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から請求することによって仕事を休める制度です。
産後休業は、出産の翌日から8週間は仕事をすることができない制度です。
ただし、産後6週間を経過後に本人が請求し、医師が認めた場合は就業することができます。
【育児休業】
子を養育する労働者が法律に基づいて取得できる休業制度です。
企業ごとに定めた「育児休暇」とは違い、「育児休業」は法令上の制度を指します。
原則、子どもが1歳の誕生日を迎える前日までの間、希望する期間に休業を取得することができます。(1人のこどもに対して1回のみ)
一定の条件を満たせば、期間を延長することも可能です。
また、父親の育児休業推進のために、パパママ育休プラスという制度もあります。
これは、父親母親ともに育児休業を利用すると、通常より2ヶ月長い1歳2ヶ月まで延長できるというものです。
父親が育児休業を取得することによって母親の負担を減らすことができるとともに、夫婦揃って子育ての時間を楽しむきっかけにもなります。
【子の看護休暇】
就学前の子どもの病気やケガなどで看護が必要なときに仕事を休める制度です。
正社員に限らず、契約・派遣社員やパート、アルバイトにも利用できます。(ただし、条件を満たしていなければ対象外)
子ども1人につき年間で5日間取得できるといったもので、もともとは1日単位でしか取得できませんでしたが、平成29年1月から半日単位でも取得できるように改正されました。
ただし、1日の所定労働時間が4時間以上の従業員が対象となります。
【介護休業・介護休暇】
介護のための両立支援制度もあります。
介護休業は、2週間以上の期間にわたり常時介護が必要な対象家族がいる場合(要介護状態)、対象家族1人につき通算93日の休暇を取得できる制度です。
3回を上限として分割取得が可能です。
介護休暇は、要介護状態にある対象家族の介護や世話をする労働者に対して与えられる休暇です。
1年間に5日取得可能で、要介護状態にあたる家族が2人以上いる場合は10日を限度として取得することができます。
②働きやすい職場を選ぶ
これまでご紹介した両立支援制度を整える企業が増えてきましたが、実際、制度を利用しない従業員が多いという現実があります。
その背景としては、仕事が忙しすぎたり、上司や同僚など職場の理解が得られにくいということが挙げられます。
特に、中小企業のような従業員規模が小さい企業であれば、個別の事情に応じて柔軟な対応も可能なのに対し、大企業ではなかなか対応してもらえないといった問題もあります。
両立支援制度の利用を積極的に促してくれる企業や、子育てをしながら働くことの大変さを共感してもらえるような人間関係を築けるかなど、仕事と家庭の両立に理解してくれる職場を選ぶことが重要です。
また、自宅や子どもの保育園・学校から近い職場を選ぶことも両立するためのポイントとなります。
勤務先が近ければ通勤時間が減らせるので、朝や仕事帰りの子どもの送迎があっても時間にゆとりができますし、もしも子どもになにかあった時でもすぐに駆け付けることができます。
「在宅で働く」という選択肢も
これまで、会社勤めの際の仕事と家庭の両立をするためのコツをお伝えしてきましたが、他にも両立しやすい手段があります。
それは「在宅ワーク」です。
新しい働き方ということで、世間の主婦の間でも在宅ワークはどんどん普及されています。
では、在宅ワークにはどのようなメリットがあるのでしょう?
・家族を優先できる
・自分のペースで働くことができる
・時間を有効に使える
・子育てをしながらキャリアアップが可能
家族を優先できる
在宅ワークの最も大きなメリットは、家族にコミットすることができるところでしょう。
在宅ワークは自由にスケジュールが組めるので、家族のスケジュールを優先して仕事をすることも可能です。
また、家族の急な病気やケガにも臨機応変に対応することができます。
そんな急な事態でも、職場に迷惑をかけてしまうといった罪悪感を感じることはないので、精神的な負担も少なくなります。
自分のペースで働くことができる
会社勤めの場合、9時~17時など、毎日の勤務時間は決まっています。
一方、在宅ワークは働く時間を自分で決めることができます。
例えば、子どもを学校へ送り出してから4~6時間ほど仕事をする、子どもの昼寝中の2時間と寝かしつけの後に3時間ほど仕事をするなど。
1日に働く時間も仕事の分量も、自分で決めることができるといった利点があります。
時間を有効に使える
在宅で仕事をするので、通勤時間が一切かかりません。
また、普段着やノーメイクでも問題ないので、身支度の時間も省けます。
仮に、化粧などの身支度に30分、会社までの移動が片道30分かかるとすると、通勤するまでに1時間はかかりますよね。
それだけでなく、朝食やお弁当作り、洗濯、子どもの世話などの時間も含めると、朝起きてから仕事に行くまでの時間は2~3時間ほどかかってしまいます。
しかし、在宅ワークなら身支度と通勤の時間が必要ありません。
その分、忙しい毎日の時間に大きなゆとりが生まれます。
子育てをしながらキャリアアップが可能
在宅ワークをすることで、自分のスキルアップやキャリアアップにも繋がります。
例えば、WebライターなどWeb関係の仕事をすると、自然にWebに関するスキルがついてきます。
スキルがついて経験を重ねれば、企業のWebマーケティングの仕事を受注できたりなど、立派な実績を作ることも可能となります。
また、在宅ワークで培ったスキルや実績を生かして、希望の企業に就職できる可能性もあり得るのです。
子育てをしながらキャリアアップができれば、子どもが大きくなって手が離れてからの将来の選択肢も広がりますよね。
まとめ
主婦が仕事と家庭(家事や育児)を両立させることは難しいと考えられています。
しかし、両立支援制度や地域や民間のサポートなど、女性の活躍や躍進のためになる支援策はどんどん増えてきています。
そういったサポートを利用しつつ、夫婦間でも家事と育児の分担を公平におこなうことができれば、仕事と家庭の両立も夢ではありません。
また、多様な働き方ができる時代になりつつあります。
仕事=会社に勤めるというだけでなく、自宅にいながら自分で仕事をすることだってできるのです。
主婦だからといって、仕事を諦める必要はありません。
この記事が、あなたの理想のライフスタイルを手に入れるキッカケになれば幸いです。