「月収30万円の手取りってどのくらいなんだろう」
「社会保険や税金が引かれたあとの生活費は、貯金はどのくらいできるのかな」
こんなことを気になった経験はありませんか。
給料は総支給金額が手取りではなく、総支給金額から社会保険料や税金などが引かれた金額が手取り額です。
給料の金額によって社会保険料などの引かれる額が変わってくるので、月収30万円と言っても手取りがわかりにくいです。
では「月収30万円の手取り額はわからないのか・・・」というわけではありません。
社会保険料や税金などは月収で推測することができ、月収30万円の手取り額は約24万円ほどです。
今回は月収30万円の手取り額について解説します。
給料から引かれるもの、月収30万円の生活費の内訳についても参考にしてください。
月収30万円、手取り額はいくら?
月収30万円の手取り額はどのくらいでしょうか。
手取り額は年齢や扶養の有無によって違い、まとめると以下のようになります。
年齢等 | 毎月の手取り額 | 年間の手取り額 | |
40歳未満 (介護保険なし) |
扶養あり | 241,650円 | 2,899,800円 |
扶養なし | 237,240円 | 2,846,880円 | |
40歳以上 (介護保険あり) |
扶養あり | 239,150円 | 2,869,800円 |
扶養なし | 234,840円 | 2,818,080円 |
参考・条件等
・健康保険・厚生年金保険:全国健康保険協会の「令和3年度保険料額表(令和3年3月〜)(東京)」
・雇用保険:厚生労働省の「令和3年度の雇用保険料率について」より一般の事業
・年間の手取り額は賞与、年末調整を加味しない
・扶養は一般扶養親族が一人
・住民税は年収の所得より概算にて計算
・実際の手取り金額とは異なる
月収30万円の手取り額は約24万円で、6万円ほど給料から引かれていることになります。
給料から引かれるものは一般的に「社会保険料・所得税・住民税」が考えられ、年齢や扶養の有無によって金額が異なるものもあります。
具体的にそれぞれ解説します。
・社会保険料
社会保険は大きく分けて「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「労災保険」の5種類があります。
このうち給料から差し引かれるのは健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険の4種類ですが、介護保険は年齢によって取り扱いが違います。
さきほどの手取り額の表を見ると、40歳未満と40歳以上では手取り額に差が生じており、これは介護保険の有無の違いです。
介護保険は40歳から64歳までの期間、健康保険に加入している人が給料から差し引かれます。
・所得税
所得税は毎月の給料、社会保険、扶養の人数によって差し引かれる金額が異なります。
さきほどの手取り額の表を見ると扶養ありと扶養なしでは手取り額が違い、扶養ありの方が手取りが多いいです。
それは、扶養の人数が増えると所得税が減るからです。
扶養が増えると扶養控除(ふようこうじょ)と呼ばれる所得控除(しょとくこうじょ)が増え、税金が少なくなります。
ただし16歳未満の扶養親族(ふようしんぞく)は所得税法上の扶養控除を受けることができないので、たとえ扶養になっていても所得税は変わりません。
・住民税
住民税は市県民税ともよばれ、社会保険料や所得税と同様に給料から引かれることがあります。
住民税の納付は特別徴収(給料から引かれる)と普通徴収(自分で納付)があり、給料から引かれる特別徴収が多いいです。
会社の従業員数や、給料の金額によっては自分で納付する普通徴収になることもあります。
初めて働いたとき、給料から住民税が引かれていなかったのではないでしょうか。
住民税は前年の所得に対して課税され、特別徴収の場合6月から翌年の5月までの期間で給料から差し引かれます。
そのため今給料から引かれている住民税は、前年の所得に対する住民税です。
ここまで月収30万円の手取り額などについて解説しました。
給料からは社会保険料などが引かれ、実際の手取り額とは違います。
手取り額が30万円の月収は約38万円ほどです。
月収30万円の場合の生活水準
月収30万円の場合の生活費はどうなっているでしょうか。
独身・家族4人(夫婦と子供2人)の2パターンを解説します。
まずは独身の場合です。
食費 | 33,970円 |
住居費 | 26,816円 |
水道光熱費 | 7,670円 |
交通・通信費 | 17,959円 |
教養娯楽費 | 19,211円 |
その他 | 27,498円 |
合計 | 133,124円 |
・政府統計の総合窓口「家計調査 単身世帯(2021年)」より月収金額を基に参考
・住居費は住居と土地家屋借金返済の合計
独身の場合、生活費の中で一番多い費用項目は食費になっており、手取り金額から比較すると約14%が食費に使われていることになります。
さらに生活費全体で考えると食費は約25%と生活費の1/4を占めています。
仕事が終わったあとにご飯を作るのが大変で、自炊ではなく外食する機会が多いのではないでしょうか。
次に多い費用項目は住居費の26,819円です。
一人暮らしでアパートを借りた場合、都心であれば月に9万ほどの家賃を支払うこともあり、少なく感じるのではないでしょうか。
これは家賃・地代を支払っている世帯が、単身世帯全体の場合38.1%になっていることが理由だと考えられます。
実家に住んでいるのか、家賃を支払っていないケースが多いのかもしれません。
また自由に使えるお金が多いためか、家族世帯に比べて教養娯楽費が高くなっています。
手取り額と生活費を差し引くと月に約10万円ほど貯金に回せることになります。
次に夫婦と子供2人の4人家族の生活費です。
月収30万円の生活費は以下のようになっています。
食費 | 55,504円 |
住居費 | 44,067円 |
水道光熱費 | 18,658円 |
交通・通信費 | 36,822円 |
教育費 | 16,117円 |
教養娯楽費 | 16,029円 |
その他 | 52,041円 |
合計 | 239,238円 |
・厚生労働省の「国民の所得や生活の状況等に関する分析③」の300〜400万世帯を参考
・住居費は住居と土地家屋借金返済の合計
家族世帯の場合も独身と同様に生活費の中で一番多い費用項目は食費です。
人数が増えると食費も増えますが、一人にかかる食費は13,876円(55,504円÷4人)と独身に比べて減っています。
食費や住居費を除くと「交通・通信費」が他の費用項目に比べて高いです。
いまやスマホは一人一台、スマホを持っている小学生も珍しくありません。
交通・通信費は家族の人数に比例して増えてくる費用項目になっていそうです。
扶養ありの場合、月収30万の手取り額は24万円前後と生活費の合計とほぼかわりません。
そのため貯金に回すのは難しそうです。
月収30万円を得られる仕事とは?
月収30万円を得られる仕事について、男女別・産業別・職種別の3パターンで解説します。
まずは男女別です。
国税庁の「民間給与統計調査(令和元年)」によると、月収30万を超えている人(年収400万超)は42.6%です。
また男女別では厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、以下のようになっています。
30万円代 | 30万円以上 | |
男性 | 24.4% | 49.2% |
女性 | 14.4% | 21.1% |
男性と女性を比べると月収30万円を超えている割合は倍以上の差があり、これは雇用形態の違いが影響しているためでしょう。
正社員と非正社員では、非正社員の方が月収が低くなっており、男性に比べると女性は非正社員の割合が高いです。
総務省の「労働力調査(基本集計)(令和3年4月分)」によれば、女性の非正社員の割合は53%と正社員よりも多いいですが、男性の非正社員の割合は21.7%です。
次は産業別です。
月収30万円を超えている産業をまとめると以下のようになります。
性 | 月収30万超えている産業 |
男性 | ・建設業 ・製造業 ・情報通信業 ・卸売業、小売業 ・金融業、保険業 ・学術研究、専門・技術サービス業 ・生活関連サービス業、娯楽業 ・教育、学習支援業 ・医療、福祉 |
女性 | ・情報通信業 ・学術研究、専門・技術サービス業 ・教育、学習支援業 |
*厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」参考
男性は多くの産業で月収30万円を超えていますが、それに比べると女性は月収30万円を超える産業が少ないです。
女性が月収30万円を目指すのであれば、「情報通信業」「学術研究、専門・技術サービス業」「教育、学習支援業」の産業を選ぶ必要があるのかもしれません。
最後に職種別です。
月収30万円を超えている職種のランキング上位を男女別にまとめると以下のようになります。
順位 | 男女計 | 男性 | 女性 |
1位 | 航空機操縦士 | 航空機操縦士 | 医師 |
2位 | 医師 | 医師 | 大学教授(高専含む) |
3位 | 大学教授(高専含む) | 法務従事者 | 航空機操縦士 |
4位 | 法務従事者 | 大学教授(高専含む) | 大学准教授(高専含む) |
5位 | 大学准教授(高専含む) | 歯科医師 | 歯科医師 |
6位 | 歯科医師 | 大学准教授(高専含む) | 大学講師・助教(高専含む) |
7位 | 大学講師・助教(高専含む) |
大学講師・助教(高専含む)
|
小・中学校教員 |
8位 | 管理的職業従事者 | 管理的職業従事者 | 獣医師 |
9位 | 小・中学校教員 | 保険営業職業従事者 | 高等学校教員 |
10位 | 著述家、記者、編集者 | 著述家、記者、編集者 | 管理的職業従事者 |
・厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」参考
・決まって支給する現金給与額順
職種では航空機操縦士、医師、大学教授などの職種が上位を占めて、事業用操縦士や医師などの資格が必要になる職種が目立ちます。
ここまで男女別・産業別・職種別の3パターンで月収を確認しました。
月収30万円を超えている男性は5割近くいますが、女性は約2割と月収30万円を超えるのは難しく感じます。
しかし、これらの産業や職種に該当しないと、月収30万円を得ることができないわけではありません。
女性が月収30万円を得るためには、キャリアアップや副業、起業などの選択肢があります。
・キャリアアップ
キャリアアップとは専門的な能力や知識を身につけ、経歴を高めることです。
例えば資格を取得し専門知識を高めたり、昇進するなどがあります。
人生100年時代、女性も経済的に自立を目指す時代へと変化しています。
女性のスキルアップが重要となる現代|人生100年時代を生きるには
・副業
副業をすることで、給料に上乗せして収入を得ることができます。
副業が解禁され、副業をする人が増えています。
それにともない副業を推進する企業や、副業の種類も増加しています。
その中でもデータ入力、ポイ活、アンケートなどの在宅ワークはスキマ時間にできたり、家でできるので人気です。
子育て中は日中、子供の世話で忙しいですが、在宅ワークであれば仕事は可能です。
子育てしながらでも仕事ができる在宅ワーク10選と詳しい仕事内容
・起業
起業すると職場環境に左右されることなく仕事をすることも可能です。
経済的に自立でき、30代で起業する女性が増えています。
自分のやりたいこと、専門知識や得意なことがある人は起業するのも選択肢の1つです。
女性の起業におけるメリットとデメリット|リスクの少ない起業から始めよう
まとめ
月収30万円の手取り額は、年齢や扶養の有無によって違いますが約24万円ほどです。
独身の場合、生活費は13万円ほどで手取り額から生活費を引くと約10万円貯金にまわすことができます。
しかし夫婦と子供2人の4人の生活費は約24万円で、手取り額とあまり差がなく貯金にまわすのが難しそうです。
月収30万円を超える女性は全体の2割ほどで、男性に比べると倍近い差があり、月収30万円を超えるのが難しく感じるのではないでしょうか。
しかし収入を増やすにはキャリアアップ、副業、起業などの選択肢があります。
自分にあった方法を選択しましょう。