
振り返りと目標設定のフレームワークを解説 確定申告のタイミングで1年を振り返ろう
確定申告の時期が終わると、新しい年度の始まりを意識する時期になります。1年間の仕事や生活を振り返り、次の目標を立てる絶好のタイミングといえるでしょう。「スキルアップをしたい」「仕事や家事を効率的に進めたい」「健康のために何かを始めたい」と考えているなら、まずは一年間の「振り返り」を行い、自分の成長や課題を整理することが大切です。この記事では、振り返りのメリットや具体的な方法、目標を立てるためのフレームワークを紹介します。
目次
「振り返り」を行うことのメリットとは
- 自分の成長を実感できる
- モチベーションを維持しやすい
- 失敗の原因を見つけ、次回に活かせる
学生のころは、テストや受験、資格取得などを通じて成長を実感する機会も多いですが、社会人になると、日々の業務に追われ、気づけば数年が経過していた……ということも少なくないですよね。
定期的に振り返りを行うことは、自分の成長やスキルの向上に気づくきっかけとなり、自信につながります。また、達成できたことを可視化することには、次の目標に向けたモチベーションを高める効果もあります。
また、振り返りを通じて、「なぜうまくいかなかったのか?」を分析することで、具体的な改善策を立てることが可能です。例えば、業務効率化のためにマニュアルを作成する、ミスを防ぐために事前準備のタイミングを早めるなど、業務の仕組みに振り返りによる改善策を取り入れることで、次回の成功率を高めることができます。
「振り返り」をするために使うフレームワークとは
振り返りのためのフレームワークとは、やったことを整理し、次にどうするかを考えるための思考ツールです。決まった形に沿って振り返ることで、途中で思考が脱線しにくくなり、「なんとなく反省しただけ」で終わることなく、具体的な改善策を導き出せます。
振り返りを効果的に行うためには、まず「何を」「いつ」「どのフレームワークを使って」振り返るのかを決めましょう。振り返りの基本的な方法は、「目標を設定する」「実行する」「成果や課題を分析し、次の行動を決める」という流れです。この流れをスムーズに進めるために活用できる振り返りのフレームワークについて、「KPT」「PDCA」「YWT」「4行日記」「経験学習モデル」の5つをご紹介します。
KPTとは「継続すること・問題点・今後試すこと」の3つに分けて振り返る方法
KPTは「Keep(継続すること)」「Problem(問題点)」「Try(今後試すこと)」の3つの視点で振り返るフレームワークです。現状を整理し、課題を明確にしたうえで、次のアクションを具体的に決めることができるため、個人の業務改善やプロジェクトの振り返り、チームでの振り返りにも適しています。職場などで複数人で話し合う場でも、ホワイトボードや付せんを活用することで意見を出しやすくなり、振り返りがスムーズに進むのが特徴です。
■KPTの3つの要素と考え方
- Keep(継続すること):良かった点、成功したことなど、継続することを明確にする。
- Problem(問題点):問題点や課題など目標に対してマイナスに働いた内容。
- Try(今後試すこと):KeepとProblemを踏まえ、次に試す具体的なアクションを決める。
PDCAとは「計画→実行→評価→改善」のサイクルを回して振り返る方法
PDCAは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つのステップを繰り返しながら、業務や目標達成のプロセスを改善するフレームワークです。継続的にサイクルを回すことで、業務効率の向上や、個人のスキルアップに役立ちます。仕事だけでなく、ダイエットや資格取得、家計管理など、様々な分野で取り入れられます。
■PDCAの4つのステップと考え方
- Plan(計画):現状を分析し、具体的な目標と達成方法を決める。
- Do(実行):計画に沿って実行する。記録を残しておくと振り返りがしやすい。
- Check(評価):計画通りに進んでいるかを確認し、結果を分析する。
- Action(改善):評価をもとに、改善案を考え、次のPDCAにつなげる。
YWTとは「やったこと→わかったこと→次にやること」を整理し、振り返る方法
YWTは「Y(やったこと)」「W(わかったこと)」「T(次にやること)」の3つのステップで振り返るシンプルなフレームワークです。短期間での振り返りに適しており、日々の業務や学習の進捗管理、短期的な成果の確認に活用できます。個人の学習や家計管理、業務改善など、日常的に行う小さな振り返りをスムーズに進めるためのフレームワークとして有効です。
■YWTを使った固定費削減の振り返り例
- Y(やったこと):「いつ」「どこで」「何をしたか」などを客観的に書く
- W(わかったこと):良かった点、課題、気づきを明確にする
- T(次にやること):期限や数字を入れた、具体的なアクションプランを決める
4行日記とは「事実」「気づき」「教訓」「宣言」を書くシンプルな振り返り方法
4行日記は「事実」「気づき」「教訓」「宣言」の4つの要素をシンプルに書き出す振り返りのフレームワークです。日々の出来事や感情を整理し、自己理解を深めるのに適しており、思考を前向きに整える効果もあります。忙しい日々でも短時間で振り返ることができるため、習慣化しやすいのが特徴です。
また、振り返りをしても、気づきや教訓が思いつかない場合には、生成AIを活用して客観的な視点を得るのも一つの方法かもしれませんね。
■4行日記の4つのステップと考え方
- 事実:「いつ」「どこで」「何が起こったか」などを客観的に書く。
- 気づき:その出来事から得た学びや発見を整理する。
- 教訓:次に活かせることや、同じ状況でどうすればよいかを考える。
- 宣言:ポジティブな言葉で、具体的な行動を決める。
経験学習モデルとは「経験→省察→概念化→実践」の流れで振り返る方法
経験学習モデルは「経験」「省察」「概念化」「実践」のサイクルを回しながら、問題解決力や学習効果を高めるフレームワークです。単なる経験の積み重ねで終わらせるのではなく、体系的に学びを深め、次の行動に活かすことができるため、個人のスキル向上やチームの能力開発に適しています。
■経験学習モデルの4つのステップと考え方
- 経験:「いつ」「どこで」「何をしたか」などを客観的に書く。
- 省察:成功した点、課題、感じたことを整理する。
- 概念化:経験を分析し、改善策を考える。
- 実践:期限や頻度など、具体的なアクションを具体的に決める。
目標設定のコツとは?振り返りのための目標例
振り返りを行うためには、まず、目標を明確にすることが重要です。例えば、フリーランスや副業をしている方であれば、「確定申告をスムーズに終わらせる」という目標を設定すると、帳簿付けの方法や時期などを見直すきっかけになります。資産形成、健康管理、資格取得など、ライフスタイルに合わせた目標を立てるのも良いでしょう。
目標が大きすぎると達成するまでに時間がかかり、成長を実感しにくくなることがあります。目標を細分化し、達成しやすいステップを作ることが大切です。また、期限を設定し、無理のない範囲で計画を立てることで、振り返りをしやすくなり、モチベーションの維持にもつながります。
振り返りを習慣化することで理想の自分へ
目標を立て、それに向けて定期的に振り返りを行うことで、1年後には驚くほど成長している自分に出会えるかもしれません。振り返りを習慣化するためには、タスク管理ツールやカレンダーにスケジュールとして組み込むのがおすすめです。定期的に見直す仕組みを作ることで、目標達成に向けた行動を継続しやすくなります。
今日の振り返りが、1年後の理想の自分へとつながる第一歩になります。この機会にぜひ、振り返りと目標設定を習慣にしてみませんか?