50代女性が抱える悩みとは 今後の人生をより充実させるためのヒント

生き方

「人生100年時代」において、50代は人生の折り返し地点ともいえます。女性の場合、更年期による体調の変化、子育てをしてきた方は子どもの巣立ち、高齢になった両親へのサポートを始めたりと、身近に大きな変化の多い時期。また、これまで努力を積み重ね、仕事で充実期を迎えたり、家計や貯蓄が安定してきたり、これまでよりも自由な時間が増える方も多いでしょう。「残りの人生を精一杯楽しみたい!」と考える50代女性に、この年代に多い悩みごとに向き合い、今後の人生をより充実したものにするためのヒントをご紹介します。

目次

    50代女性を悩ませる体の不調や将来への不安

    50代では、老後の生活への心配、生活習慣病や更年期による不調など健康に関する不安、40~50代に多くの人がおちいる「ミドルライフ・クライシス」として「今のままでよいのか?」などといった内面的なあせりや葛藤などに悩ませられることが多いといえます。

    50代女性の老後の生活についての悩み

    令和5年度の『家計調査報告〔家計収支編〕』によると、 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)では、実収入は244,580円( 可処分所得は213,042円)で、 消費支出は250,959円。 また、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)については、実収入は126,905円(可処分 所得は114,663円)で 消費支出は145,430円です。※可処分所得とは、収入のうち税金や社会保険料などを除いたもの。手取り収入。

    出典:総務省統計局『家計調査報告〔家計収支編〕』(2023年)

    出典:総務省統計局『家計調査報告〔家計収支編〕』(2023年)

    収入を上回る支出、「不足分」は、会社を退職し、給与という収入がなくなっても貯蓄などから賄わなければいけません。50代となれば、このことを意識した生涯のマネープランをたてていく必要があります。

    50代女性の健康についての悩み

    体調面で50代の女性を悩ませることが多いのが、40歳代後半から50歳代にかけて起こる閉経、そして閉経の前後10年間「更年期」に起こるさまざまな症状です。女性ホルモンは、たとえば骨や脳、心臓や血管、自律神経、免疫機能など女性の心身を支えているため、その低下によって全身、そして精神的な不調がもたらされる可能性があるのです。

    のぼせやほてりのほか、更年期の症状は100種類くらいあるとも。症状の出方に個人差があるとはいえ、これらの不調を抱えながら、仕事や家庭生活を「これまでどおり」に続けていくことは、なかなか難しいといえます。

    健康問題でいえば、女性特有のがんにも注意が必要です。2020年の女性の部位別でのがんの罹患率は乳がんが最も多くなっています。子宮体がんも閉経前後に多いがんです。

    出典:厚生労働省『全国がん登録 罹患数・率 報告 2020』

    婦人科のかかりつけ医をもつ

    更年期症状には、ホルモン補充療法や漢方薬を使った治療法があります。婦人科の専門医に相談すれば、症状に合わせた治療を受けることで、症状を緩和させることができるでしょう

    更年期だとは思い当たらなくても、体調面で不調があれば、それは更年期によるものかもしれません。逆に、更年期の症状と思っていたものが、甲状腺の病気やうつ、関節リウマチ、貧血などほかの病気であることもあります。また、閉経後には、骨粗しょう症、脂質異常症、動脈硬化などの病気のリスクが上がります。

    更年期症状を緩和させる治療を受けるために、また、ほかの病気の発見・治療のためにも、女性の身体をトータルで診てもらえる婦人科のかかりつけ医をもつことは、50代女性にとって健康な生活を送るうえで重要なことといえます。

    これまで病院にはあまり行ったことがなく、面倒に感じたり、緊張したりする方もいるかもしれませんが、不快な症状に耐えながら、人生を輝かせることはできません。さまざまな不調に押しつぶされそうになり、老後の資金に対する不安を抱えつつ、自らキャリアを絶ったり、昇進を断ったりする女性も多くいるのです。

    「健康」は何にも代えがたい人生の原資。これからは、自分の心身をいたわることにも目を向けて、積極的に病院へ相談する、生活習慣を工夫することなどが必要です。そのなかで、通院がてら外出を楽しむ、お気に入りの生活習慣を見つけるなど、前向きになれる要素を取り入れ、まだ長く続く人生に向き合えるといいですね。

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    50代女性の仕事についての悩み

    50代になると体力の低下、更年期などによる不調などもあり、「自分はいつまで仕事を続けられるのか」という悩みを抱える方も多くいるでしょう。心身の健康を保つことに加えて、親の介護の始まりや子どもの巣立ちといった家庭環境の変化からも、「これまでどおり」ではなく、ワーク・ライフ・バランスの取り方を考え直す必要がでてくるかもしれません。

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    人生に対し前向きになれる心の持ち方

    老後の生活について、健康について、仕事についての悩みは、人生そのものに対しての「このままでいいのだろうか?」という漠然とした不安にもつながっていきます。じつはこのような不安は、40~50代の中年期にさしかかったほとんどの人が経験するもので、「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」と呼ばれます。

    ミッドライフ・クライシスは、アメリカの心理学者ダニエル・レビンソン(1920-1994)によって提唱されました。レビンソンはまた、人生の発達期を4つに分け、それぞれを「春夏秋冬」と表現しました。これによると、中年期は、人生の秋にあたります。

    家庭生活や仕事に精一杯の毎日を過ごしてきて、友人との語らいやコミュニティへの参加から遠ざかってはいませんか? 誰もが人生の秋を経験し、同じように悩みをもっています。誰かと想いを共有することで、心の負担が軽くなるかもしれません

    空の巣症候群、病気に見舞われたら

    子どもが成長し巣立ってしまうと、その喪失体験により内面的に苦しむことがあり(空の巣症候群)、それが更年期と関係している場合もあります。一方で、神経質、完璧主義といった性格、仕事や家庭(子育て、介護など)でのストレスが大きいと、更年期の症状が重くなるともいわれています。

    レビンソンと同時期に人の心を見つめた女性の精神科医、神谷美恵子はその著書『こころの旅』で心身の病を経験したとき、人には「自分に残されている半生を、ほんとうに自分がやりたいこと、なすべきことにささげようという意味の方向転換」がなされる例がある、としています。そのうえで、以下のように記しています。

    人生の旅路半ばに悩み多いところにさしかかっても、その悩みをバネに、意思と決断と選択により、あえて冒険をおかしてより建設的な、より創造的な生きかたに切りかえられるならば、これは決してマイナスとはいえないだろう

    出典:神谷美恵子『こころの旅』みすず書房, 2005年

    マイナスをプラスに変える心の持ち方、ぜひ心に留めておきたいものですね。

    「新しい自分」を見つける セカンドキャリアという選択

    レビンソンも神谷美恵子も、中年期の悩みや葛藤の先に「新しい自分」があるという意味のことを語っています。

    「セカンドキャリア」とは、もともとスポーツ選手の引退後や会社などを定年退職後につく職業を意味していましたが、最近はミドルエイジでのキャリアチェンジを含む定義となってきています。この意味で、誰もがセカンドキャリアに向き合う可能性があるといえます。これから仕事の分野で「新しい自分」を見つけるには、「リスキリング」などの学びなおしをステップとして踏む必要もでてくるでしょう。

    リスキリングとは、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」(経済産業省「リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―」)ですが、DX(デジタル・トランスフォーメーション)によりIT化が推奨され、それによりテレワークなどの柔軟な働き方も可能になることから、IT分野におけるリスキリングが注目されているといえます。

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    ノートを使ったメソッドも活用

    これからやりたいこと、やってみたいこと、そのために必要なステップ、将来の目標などを、まずは「書き出す」ことで実現に近づけてみてはいかがでしょうか。頭の中でぼんやりと思い描いていたイメージを言語化することにより、真の望みも発見できるかもしれません。

    イギリスの教育者トニー・ブザンが考案した「マインド・マップ」や、アメリカのデジタルプロダクト・デザイナー、ライダー・キャロルが発案した「バレット・ジャーナル」などのノート術を活用するのも一手です。

    また、日々のスケジュールを、実用的ながら、カラフルに美しく記述していく手帳術もたくさん紹介されています。スケジュール管理は、スマホやパソコンなど複数のデバイスからアクセスでき、家族と共有できるサービスなどもある、デジタルソフトでも行うこともできます。直近のタスクを書き出していくことで、将来の目標に近づく過程を楽しめるかもしれませんね。

    豊富な経験値を糧に新しいチャレンジを

    「新しい自分」を見つけていくのには、これまでの自分を振り返ることも必要かもしれません。これまでやってきたこと、できたこと、努力したこと。人生に喜びを与えてくれたものなど。仕事かプライベートかにかかわらず、50代となればこれまでの豊富な経験値を「新しい自分」に活かさない手はありません

    一見、目標には関係ないと思われる経験も、長い人生のなかでは必ずどこかでつながるはずです。これからの人生を充実させるために、まずはこれまでの自分を信じて、新しい一歩を踏み出してみてください。

    WeMAIAでは、女性のワーク・ライフ・バランスについてや、リスキリング、心と体を整える生活習慣、全国各地さまざまなライフスタイルで「自分らしい生き方」を実現させた女性へのインタビューなどをご紹介しています。

    また、大人の女性にとってコミュニティ参加はハードルが高いように思われますが、株式会社MAIAの提供する「でじたる女子+」では、Webデザインなど需要の高いITスキル、RPAやSAPなどの高度なITスキルを学びながら、全国の学習者、学習修了者と交流できるコミュニティを運営しています。ぜひ、新しいチャレンジへのご参考になさってください。

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