キャリアに直結!SAPを学ぶメリットとは? 世界で選ばれるERPシステムの特徴を解説

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経理や販売、物流、そして人事など、企業に欠かせない部門をつなぎ、データを一元管理することで業務効率を大きく改善するSAP。その仕組みを理解することは、今後のキャリアを考えるうえでも大きな武器になります。

この記事では、国内外で広がるERP市場の現状を紹介しながら、SAPがなぜ注目されているのか、また、「SAPを学ぶことのメリット」をキャリア目線でわかりやすくお伝えします。

目次

    国内外で広がるERP市場 なぜSAPを学ぶ人が増えているのか

    「SAP(エス・エー・ピー)」という言葉を耳にしたことはあるけれど、実際にはどんなシステムなのかよくわからない…そんな方も多いのではないでしょうか。

    SAPとは、世界中で導入されているERP(基幹業務システム)の代表格。経理や人事、在庫管理など、会社のさまざまな業務を一つのシステムでつなぎ、ムダを減らして効率よく働けるようにしてくれる“縁の下の力持ち”です。

    ERP(=Enterprise Resource Planning)とは、企業の大切な資源である「ヒト・モノ・カネ」の情報を一元管理できる仕組み(システム)のこと。たとえば、営業部と経理部が別々に管理していた情報を、共通のシステムで見られるようになることで、確認や連携がスムーズになり、経営判断もスピードアップします。

    ERP市場の成長とSAPの世界シェア動向

    実際、日本国内でもERPの導入は年々進んでおり、株式会社ITRの調査によると、2023年度の国内ERP市場は前年比17.7%増の2,027億円。2024年度には18.2%増と、右肩上がりの成長が見込まれています。
    (出典:ITR Market View ERP市場2025

    世界規模で見てもERP市場は拡大しており、2024年には1,359億ドルに達し、さらに2029年には1,798億ドルにまで成長すると予測されています。中でもSAPは、数十年来、グローバル市場で大きなシェアを持つ企業として知られています。(出典:Top 10 ERP Software Vendors, Market Size and Market Forecast 2023-2028

    今後、国内外でERPの導入はますます加速し、その中心的存在であるSAPを理解している人材は、確実にキャリア上の価値を高められるといえるのです。

    SAPを学ぶメリット 初心者・女性のキャリアアップにもつながる理由

    「ITは専門的で難しいのでは…」という方でも、SAPをあつかうには“業務の流れ”を整理できるということが重要なので、これまでの実務経験を活かしながら学べるのが魅力です。

    「この業務、もっとスムーズにできないかな?」という視点が、SAPを学ぶ入り口になります。SAPのようなビジネスITスキルを学ぶことは、業務改善の視点をもち、現場とIT部門との”橋渡し役”を担うことにもつながります。

    業務改善の提案力やITとの連携力を身につけ、「現場で頼られる存在」へとステップアップを目指すなど、キャリアアップや再就職を考える女性にとって、SAPは”これからの働き方”を支える強い味方になるかもしれません。

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    SAPの強みとは?幅広い業界で選ばれる理由4つ

    ①業務ごとに分かれた「モジュール」で、必要な機能だけ選べる

    SAPには、業務ごとに機能が分かれた「モジュール」が用意されています。

    たとえば、経理ならFI(財務会計)、人事ならHR(人事管理)、人事と連携する給与計算ならCO(管理会計)など。 企業は自社の業務に合わせて必要なモジュールを組み合わせることで、ムダなく効率的なシステムを構築できます。

    「自分の担当業務が、どのモジュールに当てはまるか」を知ることが、SAPを学ぶ第一歩になります。

    ②リアルタイムで情報共有できるため、部署間の連携がスムーズに

    SAPの大きな強みは、各モジュールが連携してリアルタイムでデータを共有できること。

    たとえば、営業部が受注した情報がすぐに在庫管理や経理部にも反映されるため、「確認に時間がかかる」「二重入力が必要」といった手間が減ります。

    「あの資料どこ?」と探し回ることなく、必要な情報がすぐに見つかる。そんな働き方を実現するのが、SAPのリアルタイム連携です。

    ③海外拠点でも安心。多言語・多通貨・国際会計基準に対応

    SAPは、世界中の企業で使われているだけあって、多言語・多通貨に対応しています。

    さらに、IFRS(国際財務報告基準)にも準拠しているため、海外拠点を持つ企業でもスムーズに導入できるのです。

    「海外とのやりとりがある会社に転職したい」「グローバルな働き方に興味がある」そんな方にもSAPは強い味方になります。

    ④業種・企業規模を問わず導入できる柔軟性と信頼性

    SAPは、製造業・流通業・サービス業など、業種を問わず導入されており、大企業だけでなく中小企業向けの製品も展開しています。

    また、カスタマイズやアドオン開発が可能なため、企業ごとの業務に合わせた柔軟な対応ができるのも魅力。

    導入実績が多く、信頼性が高いからこそ、「転職先で使われている」「今の職場で導入予定」という場面も多く、学んでおく価値が高いスキルです。

    SAP以外のERPシステムとの比較

    ERPとひとことでいっても、実は多様なタイプがあります。

    SAPは統合型ERPの代表格 グローバル展開に強み

    SAPは「統合型ERP」の代表格であり、多言語・多通貨対応や幅広いモジュールを備えているため、特にグローバル展開をする大企業から支持されています。

    統合型ERP

    会計や人事、販売など主要な業務をオールインワンで管理。SAP S/4HANAやOracle、Microsoft製品が代表的。

    コンポーネント型ERP

    必要な基幹業務だけを選んで導入できるタイプ。マネーフォワードクラウドERPなど国内製品に多い。

    業界特化型ERP

    製造業や流通業など特定業種に合わせたERP。業界固有の商習慣に対応可能。

    事例でわかる!SAPがもたらす業務効率化

    SAPの導入によって、企業には実際にどんな成果が出ているのでしょうか。

    ここでは、実際の導入事例をもとに、SAPがもたらす変化を「自分の職場だったら?」「転職先で活かせるかも」とイメージしながら見ていきましょう。

    赤城乳業株式会社:在庫の見える化で不良在庫を削減

    ガリガリ君でおなじみの赤城乳業株式会社では、冷凍倉庫内の不動在庫削減を目的にSAP ERPを導入。

    生産・販売・在庫のデータを可視化した結果、標準原価による管理体制が整い、不良在庫の大幅削減につながりました。
    (出典:SAP 導入事例

    日々の在庫や原価を手作業で追う必要がなくなり、ムダの少ない生産・販売計画が立てられるようになった好例です。

    職場で「在庫が多すぎる」「棚卸に時間がかかる」といった課題を抱えている場合、同様の改善が期待できるでしょう。

    アスクル株式会社:請求書管理をデジタル化し、在宅勤務率が向上

    アスクル株式会社では、紙とPDFが混在していた請求書業務を、SAPおよび電子帳票プラットフォームを活用して一元管理へ。

    決算期の忙しい時期でもリモートワーク実施率が約50%まで向上し、経理部で使用していた紙の量も年間10万枚削減しました。

    伝票印刷やファイリングの手間が減り、在宅でも正確に処理が進められるようになったことで、「働きやすさ」と「効率化」を同時に実現しています。
    (出典:SCSK アスクル株式会社へ経理業務のデジタル化と効率化を支援

    経理や事務の在宅化を進めたい企業にとっても、参考になる事例です。「紙業務を減らしたい」「在宅でも決算処理をスムーズにしたい」という課題解決に応用できます。

    オプテック株式会社:経営指標をリアルタイムで把握し、意思決定をスピード化

    経営指標の可視化を課題としていたオプテック株式会社では、SAP導入により売上推移や経営情報をリアルタイムで把握可能に。迅速な経営判断ができるようになり、業務効率化によって社員の新しい時間も生まれました。

    経営層の意思決定が早まるだけでなく、現場でもデータに基づいた改善提案がしやすくなるなど、組織全体の生産性向上につながっています。
    (出典:日立システムズ 導入事例

    もし職場で「会議の資料作成に時間がかかる」「数字の共有が遅い」といった課題があるなら、データの可視化による効果はイメージしやすいのではないでしょうか。

    どの事例も「業務の効率化」「意思決定のスピードアップ」といった成果が明確に出ています。SAPは単なるITシステムではなく、企業の成長を後押しする経営基盤といえるでしょう。

    SAPを学ぶメリットとキャリアへの活かし方


    SAPを学ぶことで得られるスキルは、単なるIT知識にとどまりません。

    業務改善の視点や部門間の連携力など、実務に直結する力が身につくため、キャリアの選択肢が広がります。

    ここでは、SAPを学ぶことで得られる具体的なメリットと、キャリアへの活かし方についてご紹介します。

    業務改善の知識が身につき、DX人材として活躍できる

    SAPを学ぶ過程では、企業の業務プロセスを理解する力が自然と身につきます。そして、業務プロセスの理解を通して、業務のムダや改善点に気づけるようになっていきます。

    こうした「業務改善」の視点をもつ人材は、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するうえで欠かせない存在です。

    今後、業界や職種を問わず「業務を理解し、ITで改善できる人材」として、活躍のフィールドが広がっていくでしょう。

    IT部門と現場をつなぐ“橋渡し役”としてキャリアアップ

    SAPの知識は、ITと現場の両方を理解する“ハイブリッド人材”を目指す方にもおすすめです。

    たとえば、現場から上がる課題をIT部門に的確に伝えたり、システム導入時に業務フローを整理したりといった役割を担うことができます。ITの専門家でなくても「業務を理解し、相手に伝えられる力」があれば、社内外から信頼される存在に。

    「システム担当」「業務改善リーダー」としてキャリアアップを目指す方にもぴったりのスキルです。

    フリーランスやリモートワークなど、柔軟な働き方にもつながる

    SAPのスキルは、転職だけでなく働き方の幅を広げることにもつながります。

    実際にSAPコンサルタントやサポート業務の多くは、リモートワークやプロジェクト単位の契約でも活躍しています。「家庭と仕事を両立したい」「地方に住みながらキャリアを積みたい」という方にとっても、SAPスキルは大きな強みになるでしょう。

    今後はフリーランスや副業としての選択肢も増えていくと予想されます。

    SAPの強みを整理 未経験からキャリアアップの第一歩に


    ここまで解説してきたように、SAPには以下の強みがあります。

    • ERP市場で世界トップシェアを誇る信頼性
    • 部署別モジュールの連携による効率化
    • 多言語・多通貨・国際会計基準への対応
    • カスタマイズ性と豊富な導入実績
    • 実際に導入企業での効率化事例が多数

    こうした背景から、SAPを理解している人材は企業にとって非常に貴重といえます。

    特にDX化が進む今、SAPのスキルは転職やキャリアアップの強力なアピールポイントとなります。たとえば業務改善の視点やITとの連携力を身につけることで、現場で頼られる存在へとステップアップするチャンスにもつながるでしょう。

    さらに、SAPを学ぶことは、システム開発やIT全般の理解を深める入り口にもなります。IT未経験からでも学習を始めることで、思いがけないキャリアの選択肢が広がるかもしれません。

    興味を持ったら、まずは基礎から学んでみてください。その一歩が、新しいキャリアの扉を開くきっかけになるはずです。

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