RPAは40代・50代女性のキャリアを高めるリスキリング RPAを学ぶメリットや方法を紹介
RPAとは、Robotics Process Automation の略で、パソコンによる定型業務を自動化するものです。たとえば、RPAによって自動化する業務として、請求書の発行、申請書類作成、システムへの登録申請などが考えられます。また、業務をRPA化することには、前提として業務のデジタル化などが必要で、これまでの業務に大きな改善をもたらす場合があります。このように、どのような業種でも発生する事務処理に活用できること、また、DX化推進を進める技術であることに、RPAを学ぶ価値があるといえるでしょう。
目次
RPAとは日々の業務プロセスを自動化するロボット開発技術
RPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)は、人が行うパソコンでの定型作業を自動化するものですが、たとえば在庫管理システムや会計ソフトなど、従来の自動化システムとはどのように異なるのでしょうか。
RPAは業務プロセスを自動化するためのプログラムを作ることができる技術です。在庫管理システムや会計ソフトは、それらを利用・操作して、業務の一部である管理や計算を自動化することができます。一方、RPAは管理や計算を含んだ一連の定型業務そのものを自動化することができます。たとえば、RPAで、ある在庫管理システムとある会計ソフトを連携させた操作をすることも可能です。
RPAでは業務の担当者がおこなう業務を担当者本人が自動化できる
また、あらかじめ自動化の対象や内容が決められているシステムやソフトを使うのとはちがい、RPAツールを使った自動化ロボットの開発を習得すれば、業務を行う人自身が、自分が行う業務を自動化することができるようになります。その業務のどこが煩雑か、どこにミスが生じやすいかなど、業務を熟知した人が開発することで、より業務に合った、効率性の高い自動化をすることができるでしょう。
RPAではノーコード・ローコードでのロボット開発が可能で、システム開発に精通していなくても、業務を行う本人がリスキリングで技術を習得し、自分の業務を自動化できるということが、DX化においてRPAが活用される理由のひとつです。
RPA化された業務例 企業や団体側、働く側にとっても価値の高い効率化とは
RPAによる自動化で効率化できる業務としては、大量の書類間の転記(コピー&ペーストなど)や確認作業、書類作成などがあげられます。
国内において広く使われているRPAツール「BizRobo!」のウェブサイトでは、具体的なRPA活用例が紹介されています。例をあげると、
- 経理・事務分野: 複数のフォーマットがある請求書作成
- 人事分野: 出張申請手続きの自動化
- サービス分野: 予約情報システムから基幹システムへの転記 など
RPAを習得し、定型的で大量に生じるような業務を自動化することで、企業や団体側から見ても働く側から見ても価値の高い効率化を実現できます。すなわち、人為的なミスをなくし、人にしかできない、たとえばクリエイティブな業務に集中できたり、時間に余裕が生まれたりする効果などが期待できるような効率化です。
RPAによる自動化のメリット プログラミング、VBAやExcelのマクロとの違い
RPAによる自動化の特徴は、ノーコード、ローコードで自動化ロボットを開発できることです。RPAツールにより、プログラミング言語をほぼ記述することなく、業務プロセスの自動化が可能です。
RPAツールによっては、ウェブ画面操作などを記録し、再現することでその一連の操作の自動化が可能な場合もあります。専門的な知識がなくとも、ある程度のパソコン操作を自動化でき、業務に携わる人々自身による開発と運用が可能である点が、RPAによる自動化のメリットです。
一方で、プログラミングに関する専門的な知識があるか、専門家からのサポートを受ける場合、RPAツールに用意された機能だけでは自動化が難しいケースでも、ツールによっては、ある種類のプログラミング言語のソースコードを実行することができます。
RPAは人が行う定型業務のプロセスを自動化する技術
ビジネスで活用されるExcelの操作を自動化するマクロは、マイクロソフト社が開発したプログラミング言語VBAにより実行されます。VBAは、Microsoft Officeのアプリケーションを拡張するための言語です。
RPAでは、Excel 操作の自動化に加え、ウェブ画面操作やシステム入力などさらに他のシステムやアプリを操作する業務プロセスも自動化することができます。
VBAやExcelマクロがアプリケーションの動きを自動化できるのに対し、RPAは、人が行う定型的な一連の業務プロセスを自動化する技術といえます。
世界トップシェアから国産まで RPAツールの種類
RPAツールには、日本で導入実績の多い国産RPAツールであるBizRobo!、世界でシェア率の高いUIPathやAutomationanywhere、Windows11に標準装備されているPowerAutomateなどがあります。
■RPAツールの種類
- BizRobo!
- Uipath
- Automation Anywhere
- PowerAutomate
- SS&C BluePrism など
また、それぞれのツールのインターフェースには、ExcelやPDF、Web操作など業務プロセスの自動化を容易に実現できるような独自の工夫がなされています。
AI機能を搭載、業務分析ツールなど自動化と同時にDXを飛躍的に進める機能も
RPAツールには、パソコン操作の自動化のほかにも、業務を効率化するための機能が加えられているものもあります。
たとえば、UiPathには自動化すべきプロセスを見つけ出す「process mining」や組織内で手動のプロセスを自動で文書化し、自動化のアイデアをデータベースとして保管する「Automation Hub」といった機能があります。
また、AutomationAnywhereでは、高い安全性のもとに生成AIを活用して業務の自動化を実現するAI Agent Studioが提供されています。
無料で使えるRPAツールもあり
各RPAツールには、機能は限られますが、無料で使うことのできるバージョンが公開されているものもあります。無料バージョンのRPAツールは、個人で試用したり、ごく小さなビジネスに利用できたりする場合もあります。
RPA化する規模が大きくなるほど必要となるバージョンの費用は高額になります。企業用の管理機能や最新のAI機能などの拡張機能は無料バージョンでは公開されていませんが、RPAの自動化技術にふれるよいきっかけとなるでしょう。
RPAをリスキリングするメリット リスキリングには補助金制度などの活用も
社会のデジタル化が進み、DX化が推進されるなか、企業や社会、市場で必要とされるスキルを学び直して習得する「リスキリング」という言葉は、広く浸透してきているといえます。
リスキリングは、個人が主体となって行うリカレント教育や生涯学習とは違い、もともとは、企業や団体側から個人へ求めるスキルの習得です。そのため個人でリスキリングを始めようとするとき、「何をどのように学ぶのか」というきっかけを探すのは難しい場合があります。
個人でリスキリングを始めようとするときのヒントとして、RPAの習得を目指すことには、以下のメリットがあります。
- RPAはDX化に有効なスキルであるため、「必要とされる人材となる」というリスキリングの目標設定をすることができる
- RPAのスキルをもつことで業務を効率化し、「人」にしかできない仕事、自分を活かした活動の時間に集中する時間が生まれる
- 業務のデジタル化や共通化など、企業や団体内で大きな業務の改善を担うことができ、やりがいにつながる
一定の条件を満たせば給付を受けられる教育訓練給付制度
個人でリスキリングをしたいときに、ある一定の条件のもとに活用できる補助金として「教育訓練給付制度」があります。
補助金給付の対象となる教育訓練の講座は、デジタル関係の講座を含む約16,000講座あり、専門実践教育訓練では最大で受講費用の80%(年間上限64万円)、特定一般教育訓練では最大で受講費用の50%(上限25万円)、一般教育訓練では受講費用の20%(上限10万円)の給付を受けることができます。
この補助金の給付を受けるには、雇用保険に加入している、していない場合は離職から一年以内である、などの給付条件を満たす必要があり、これを満たすかどうかは厚生労働所のホームページやハローワークで確認することができます。
個人でリスキリングを始めたい場合に無料で受けられるキャリアコンサルティング
2024年12月現在、「厚生労働省委託事業 キャリア形成・リスキリング推進事業」(https://carigaku.mhlw.go.jp/)により、キャリアプランニングと職業能力証明ツール「ジョブ・カード」の提供、それをもとにしたキャリアコンサルティングを無料で受けることができます。
キャリアコンサルタントに相談することで、自分がするべきリスキリング、目指す将来の姿に必要なスキルが見えてくる可能性があります。個人でリスキリングを始める第一歩として活用してみてもよいでしょう。
eラーニングでRPAを学びながらコミュニティ参加もできる「でじたる女子+」
株式会社MAIAが提供する「でじたる女子+」は、RPAやSAP、生成AIなどIT分野で需要の高いスキルをオンラインで学習することのできるプログラムです。
「でじたる女子+」は、2024年現在、経済産業省による「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」にも採択されています。この支援事業では、企業等と雇用契約(正社員、契約社員、パート・アルバイト、派遣社員)を締結していることなど、一定の条件を満たした場合に受講費用の一部が補助されます。
「でじたる女子+」では、30代~50代の女性が多く受講しており、受講者や受講修了者と交流できるコミュニティも運営されています。個人でリスキリングを始める場合、目標設定や学習のモチベーションを保つことなど、スタート時点でつまずく課題も多くあります。他の受講者たちと交流することで、安心して新たな一歩を踏み出せるといいですね。