女性のキャリアを高めるRPAとは? メリット・活用法・代表的なツールを解説

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仕事と家事、子育て、介護など、女性が家庭とキャリアの充実と両立を実現させるためにさまざまな「支援」が求められる時代。業務を効率よく、かつ正確にこなすためのパワーツールであるRPA(Robotic Process Automation)もそんな女性たちのサポートとなる技術のひとつです。

この記事では、RPAの基本と、その導入がどのように現場や働く女性たちにメリットをもたらすか、IT経験なしでロボット開発を可能にするRPAツールについて、わかりやすく解説していきます。

目次

    RPAの基本知識5つをポイント解説

    RPAとは、人が行うPC上の定型業務をソフトウェアロボットが代行する技術。RPAツールを活用することで、ロボットを開発でき、ITの専門知識がなくても導入が可能です。

    そして、このRPAによる業務の自動化により、業務の効率化ヒューマンエラーの削減が実現できます。

    ①定型業務の自動化

    RPAは、決まったルールで繰り返し行われる業務を自動化します。たとえば、請求書の処理、データ入力、帳票作成などの業務を、人間が介さずに実行できるようになります。

    ②ヒューマンエラーを削減

    RPAはプログラムされた通りに動作するため、入力ミスや作業漏れを大幅に減らせます。とくに、正確性が求められる金融業務、自治体での業務などで普及が進んでいます。

    ③24時間稼働が可能

    ソフトウェアロボットなので、人間の勤務時間に関係なく業務を遂行できます。これにより、深夜・休日の業務を自動化し、対応スピードを向上させることができます。

    ④短期間で導入できる

    従来のシステム開発に比べ、RPAは既存の業務フローをほぼ変えずに導入できるため、短期間で業務改善を図ることができます。

    ⑤ノーコード・ローコード開発が可能

    RPAツールは、直感的に操作できるものが多く、ドラッグ&ドロップの操作で業務フローの自動化プログラムを作成することができます。

    • ノーコード開発: 完全にプログラム不要で、GUI(コンピューターやソフトウェアを視覚的な画面で操作できる仕組み)ベースの操作でロボットを作成できる。
    • ローコード開発: 少しのコード記述で高度な業務を自動化できる。


    RPAによる業務自動化の実践法

    ここでは、「RPAを使ってどのような業務を自動化できるのか」具体的な例をあげます。自分のいつもの業務と重ね合わせながら、RPAによる効率化をイメージしてみましょう。

    たとえば、請求書処理の場合。営業管理システムで発注データを確認し、会計ソフトに請求書を入力し、さらにメールで送信するといった複数のシステムをまたぐ業務は、従来は手作業で行われることが一般的でした。

    しかし、RPAを活用すれば、これらのプロセスをシームレスに自動化できます。

    事務・経理業務RPA化の具体例

    企業のバックオフィス業務には、多くの繰り返し作業があります。

    • 請求書処理:営業管理システムで発注データを確認し、会計ソフトに請求書を入力・送信する業務を自動化
    • 経費精算:社員が提出した領収書の内容を読み取り、経理システムへ入力する作業をRPAで処理
    • 売上データの集計:各店舗や部署の売上データを収集・統合し、レポートを自動生成

    人事・総務業務RPA化の具体例

    会社の人事・総務部門では、従業員の管理業務が多く発生します。

    • 入社手続き:新入社員の情報を人事管理システムに登録し、社内通知メールを送る作業を自動化
    • 勤怠管理:従業員の勤務データを収集し、給与計算システムに自動反映
    • 採用プロセスの管理:応募者情報を整理し、面接日程の調整をRPAで実行

    カスタマーサポート業務RPA化の具体例

    お客様からの問い合わせ対応をより効率的に行うための自動化も可能です。

    • 問い合わせ対応の自動化:よくある質問を自動返信し、オペレーターの負担を軽減
    • 顧客情報の管理:問い合わせ履歴をCRM(顧客管理システム)へ自動登録
    • 契約書の処理:契約書の作成、送付、署名確認を効率化

    営業・マーケティング業務RPA化の具体例

    売上向上や市場分析をサポートする業務にもRPAを活用できます。

    • メール配信の自動化:顧客リストをもとに、自動で販促メールを送信
    • 市場データの収集:競合の価格や商品情報を定期的に取得し、自動でレポートを作成
    • 広告効果の測定:SNS広告のクリック数や反応を分析し、データを自動集計

    このように、とくに「人手に頼っているが、実はルール化しやすい業務」が自動化対象として適しています。導入にはIT部門やガバナンスの整備が必要ですが、そのメリットの大きさから、RPAの国内市場は年々拡大しています。

    RPAが企業と働き手にもたらす6つのメリット

    RPAを導入することで、企業はどう変わるのでしょうか? まず顕著なのが、業務効率の向上と人的ミスの減少でしょう。

    RPAベンダーのウェブサイトでは、RPAによる効率化の効果などが紹介されています。たとえば、Salesforceでの問い合わせに対し年間約6000件ほどの起票をRPAで処理、作業時間が従来の3分の1となった例などがあげられています。(参考:UiPath公式ホームページ 顧客事例)

    RPA導入における企業側のメリット

    1. 業務効率の向上: RPAを導入することで、人が行っていた定型業務を自動化できるため、作業スピードが飛躍的に向上。結果として、業務全体の生産性がアップし、より高度な業務に人を集中させることができる。
    2. コスト削減: RPAは24時間稼働し、人件費を削減できるため、特にルーチンワークが多い業務では大幅なコスト削減が可能。ミスが減ることで、修正作業にかかるコストも抑えられる。
    3. 品質と精度の向上:人間が行う作業にはミスがつきものだが、RPAなら一度正しく設定すれば正確に作業を実行できる。結果として、業務の品質が向上し、企業の信頼性も高まる。

    RPA導入における働き手側のメリット

    1. 単調な業務からの解放:
      RPAがルーチン業務を担うことで、従業員はクリエイティブな仕事や、より戦略的な業務に集中できるようになる。これにより、仕事へのモチベーションもアップ。
    2. ワークライフバランスの改善:RPAによって業務時間が短縮されるため、残業が減り、プライベートの時間を確保しやすくなる。仕事の効率が上がることで、より充実した働き方が可能に。
    3. スキルアップのチャンス:RPAの運用や管理を学ぶことで、新しいスキルを習得できる。これにより、キャリアアップの可能性が広がり、将来的に市場価値の高い人材へと成長できる。

    働く女性にとってのRPAのメリットとは?

    現場の女性たちにとって、RPAは“仕事を奪う敵”ではなく“味方”になり得ます。

    RPAを使いこなすスキルは、そのまま自分自身の市場価値を高める力になりますし、単純作業から解放されることで、より企画的・分析的な業務に注力できるようになるでしょう。

    とくに30代〜50代の女性は、家族のサポートや介護で忙しいライフステージにいます。ロボットに任せられる部分は任せ、自分にしかできない判断やコミュニケーションに集中する――そんな働き方へのシフトチェンジが、RPAに期待されています

    代表的なRPAツール 無料プランで自動化に挑戦!

    RPAによる自動化の特徴は、ノーコード、ローコードといい、プログラミング言語をほぼ記述することなく、自動化ロボットを開発できることです。

    それを可能にしているのがRPAツールです。RPAツールにはさまざまな種類があり、企業の規模や業務内容によって選ぶべきツールが異なります。

    世界的に利用されている「UiPath」や「Automation Anywhere」、国内で実績のある「BizRobo!」、そしてMicrosoft製品との親和性が高い「Power Automate」などが代表格です。

    無料で利用でき、実際にロボットの開発や実行を体験できるツールもあるので、まずは操作してみたい、試しにタスクを自動化してみたいという方はチェックしてみてくださいね!

    BizRobo!

    BizRobo!は、1ライセンスで開発環境を無制限にインストール可能、開発環境と実行環境をオールインワンで提供するなど、シンプルな価格体系が特徴です。公式ページ:https://rpa-technologies.com/

    国内で豊富な実績があり、これまでに培われたノウハウ、ナレッジがポータルサイトで公開されています。初心者向けのナレッジもあるので、まずはここで基本知識を学んでみるのがおすすめ。

    • 低コストで導入可能:独自の価格体系により、費用対効果が高い。
    • 無制限のインストール:1ライセンスで複数のロボット開発環境をインストールできる。
    • スモールスタートが可能:「BizRobo! Mini」など、企業の規模に応じたプランを提供。
    • 日本国内での導入実績多数:医療・製造・金融業界など幅広い業界で活用されている。

    幅広いITスキルが学べる「でじたる女子+」では、BizRobo!の開発環境を使ってRPAについて学べます!

    「でじたる女子+」をチェックする

    UiPath

    UiPathは、世界的に広く利用されているRPAツールで、AIによる自動化サポートやクラウド対応が強みです。直感的な操作が可能で、初心者から上級者まで幅広く活用できます。公式ページ:https://www.uipath.com

    フリープランがあり、個人利用向けの開発と実行機能が無料で提供されています。

    • ドラッグ&ドロップで簡単にワークフロー作成:ノーコード・ローコード開発が可能。
    • AIによる効率化:自動化すべきプロセスを見つけ出す「Process Mining」などのAIを活用した機能。
    • クラウド対応:どこからでもアクセスできる柔軟な運用が可能。
    • 幅広い業界で導入:金融・医療・製造業など、多様な業界で活用されている。

    Automation Anywhere

    Automation Anywhereは、クラウドベースのRPAツールで、AIを活用した高度な自動化も可能です。企業全体での導入を想定した設計になっており、セキュリティや管理機能が充実しています。
    公式ページ:https://www.automationanywhere.com/jp

    マシン台数250台未満などの要件を満たすスモールビジネス向けに、無料で利用できるCommunity Editionが提供されています。

    • クラウド対応:どこからでも利用可能で、柔軟な運用が可能なクラウド型も提供。
    • AIを活用した自動化:AI Agent Studioでは信頼度の高められたAIを組み込んだロボットを開発可能。
    • エンタープライズ向け:大規模な業務プロセスの自動化に適している。
    • 高度なセキュリティ:企業のデータ保護とガバナンスを強化。

    Power Automate

    Power Automateは、Microsoft製WebベースのRPAツールで、Office 365やAI開発プラットフォームであるAzureとの連携がスムーズです。

    デスクトップ作業を自動化するPower Automate Desktopは、Windows11にプリインストールされており(Windows 10もインストール可能)、手軽に始められるのが魅力です。

    • ノーコード・ローコードで簡単に自動化:初心者でも扱いやすい設計。
    • Microsoft製品との互換性が高い:Excel、Teams、SharePointなどとスムーズに連携。
    • 比較的ローコスト:比較的低コストのプラン設計で、手軽に利用できる。
    • AIの活用:AI BuilderなどAI機能を活用した自動化がコーディングやデータサイエンススキル不要で可能。

    学び直しのチャンス——リスキリングとしてのRPA


    企業内でRPAを活用するためには、ツールの操作だけでなく、業務分析や改善提案といった“視点”をもつことが欠かせません。

    とくに、現場で業務を担ってきた女性たちがリスキリングを通じてこの技術を習得すれば、現実的かつ実務に即した改善提案が可能になります。

    2025年現在、国や自治体でもリスキリング支援が進んでおり、経産省の補助金制度や教育訓練給付制度を活用すれば、自己負担を抑えて学ぶことも可能です。

    たとえば、受講費用の最大70%が戻る制度や、年64万円まで補助が受けられる講座も。こうした制度をかしこ使うことで、キャリアアップに向けた“次の一手”が現実的になりますよ。

    経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」

    この支援事業では、企業等と雇用契約(正社員、契約社員、パート・アルバイト、派遣社員)を締結していることなど、一定の条件を満たした場合に受講費用の一部(最大70%)が補助されます。

    詳細は、経済産業省のWebサイトで確認してみてくださいね。

    RPAとともに、業務効率化に重要な役割を担うSAP、人気の高いWebデザインや動画編集など、幅広いITスキルを定額で学べる「でじたる女子+」も、このリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業に採択されています。(補助金利用の場合、4.8万円~で受講が可能)

    RPA講座・体験談などを見る

    教育訓練給付制度

    個人でリスキリングをしたいときに、ある一定の条件のもとに活用できる補助金として「教育訓練給付制度」があります。

    補助金給付の対象となる教育訓練の講座は、デジタル関係の講座を含む約16,000講座あり、専門実践教育訓練では最大で受講費用の80%(年間上限64万円)、特定一般教育訓練では最大で受講費用の50%(上限25万円)、一般教育訓練では受講費用の20%(上限10万円)の給付を受けることができます。

    この補助金の給付を受けるには、雇用保険に加入している、していない場合は離職から一年以内である、などの給付条件を満たす必要があり、これを満たすかどうかは厚生労働所のホームページやハローワークで確認することができます。

    RPAの最新技術を”味方”につけよう!

    RPAは、人の仕事を奪う存在ではありません。むしろ、大量のルーティンワークをロボットが処理することによって、人が“人である意味”を取り戻すための技術といえます。

    最大の特徴は、RPAがAIも活用したロボットを開発する先端技術でありながら、ノーコード、ローコードで業務を自動化することができること。

    まずは日々の業務のなかで「これは機械でもできそう」と思う作業をひとつ見つけてみましょう。もし、RPAのスキルを身につけ、自分自身でその業務を自動化できた場合、どんなことが起こるでしょうか?

    1. ミスがほぼゼロになり、残業も減る
    2. ベンダーのRPA資格取得で、スキルアップが“見える形”に
    3. DX 推進を担える、キャリアの選択肢が一気に広がる
    4. 心と時間にゆとりが生まれクリエイティブになれる
    5. “自分にもテクノロジーが使いこなせる”という成功体験を得る

    RPAスキルを学ぶことができる「でじたる女子+」では、30代~50代の女性が多く受講しており、受講者や受講修了者と交流できるコミュニティも運営されています。

    個人でリスキリングを始める場合、目標設定や学習のモチベーションを保つことなど、スタート時点でつまずく課題も多くあります。他の受講者たちと交流することで、安心して新たな一歩を踏み出せるといいですね!

    でじたる女子+でRPA学習を始める

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