
プロジェクト管理ツールを個人使い ワーク・ライフ・バランスを整えるアイデア
フリーランスとして働くこと、またはリモートワークでは、業務時間などについて自分で管理する必要があります。ある程度「自由に」時間を使えることは、フリーランスやリモートワークという働き方のメリットでもありますが、効率的に業務を進めていくためのタスクや時間の自己管理は、なかなか難しいもの。そこで、プロジェクト全体やタスクの進行管理に活用されるプロジェクト管理ツールを個人で利用し、自己管理に役立てるアイデアを紹介します。
目次
プロジェクト管理ツールとはIT業界などのプロジェクト管理で不可欠なツール
プロジェクト管理ツールは、メンバーや時間、プロジェクトのリソースを一元管理するためのツールです。IT業界のほか、建設業界、製造業、マーケティング業界、ヘルスケア業界などの幅広い業界で、プロジェクトの効率的な遂行のために使われます。
たとえば、プロジェクトマネジャーはツールの機能を活かすことで、タスクの期限、進捗状況、チームメンバーの状況などの把握がしやすくなります。
また、コメント機能などチームメンバー同士でリアルタイムでのコミュニケーションを促す機能もあります。スムーズなコミュニケーションを通して、チーム間で情報を共有し、お互いの状況を確認し合いながら、円滑なプロジェクトの進行やチームメンバーの連携強化に役立てることができます。
タスク管理を視覚化「かんばん方式」を取り入れたツールも
プロジェクト管理ツールには、製造業における効率的な生産管理手法として広く知られる「かんばん方式」を採用しているものが多くあります。
かんばん方式とは、「必要なものを必要な時に必要なだけつくる」ための「ジャスト・イン・タイム」という考え方に基づき、もともとトヨタが開発、導入した方法です。
かんばんには、「いつ、どこで、何が、どれだけ使われたか」が書かれており、部品箱ひとつひとつにつけられ、定期的に部品工場へと戻されます。そして部品工場では、かんばんに書かれた数だけの部品を作ることで、在庫が解消されるというものです。
現在は「かんばん」は電子化され、世界に誇る自動車メーカーであるトヨタの生産方式を今も支えています。
プロジェクト管理ツールでは、この部品や材料の供給を視覚的に管理するかんばん方式に倣い、タスク管理が視覚化されます。
内容や担当者、優先度などが視覚化された各タスクは、ボードに貼り付けるように並べて表示したり、全体を把握しやすくリスト表示したり、カレンダー形式やガントチャートで表示したりなど、各ツールでタスク管理がしやすいような工夫がこらされています。
無料で使えるプロジェクト管理ツールの種類と特徴
プロジェクト管理ツールには多くの種類がありますが、ここでは2025年1月現在、無料で使えるプランのあるものを3種類ご紹介します。
AsanaのPersonalプラン
Asanaは、タスク管理やコミュニケーション機能に加え、200以上のアプリと連携でき、お気に入りのツールやシステムをひとつのプラットフォームにまとめることもできるプロジェクト管理ツールです。有料プランでは、AIを使ったワークフローの作成、タスクの自動化、プロジェクト管理のためのテンプレートの利用などが可能。
無料で使えるPersonalプランでは、
- 無制限のプロジェクト、タスク、コメント、ストレージ(最大100MB/ファイル)の管理
- Microsoft365、GoogleWorkspace、Slackなどとの連携
- プロジェクトをPDFまたはCSVへエクスポート
などの機能が使えます。
プロジェクトの管理画面は、プロジェクトに関わるタスクを全体的に見られるリスト、タスクをカードを並べる感覚で管理できるボード、カレンダービューが選択可能ですよ。
ClickUpのフリープラン
ClickUpには、フリーハンドでの挿画など柔軟な編集機能を備え、ブレインストーミングなどに使えるホワイトボード機能があります。
無料プランでは、
- 無制限のタスク
- アプリ内ビデオ録画
- ホワイトボード
などの機能が使えます。
また、カンバンボードやカレンダービューのほか、すべてのスペースとリストのタスクを1つのビューで確認できるので、複数のプロジェクトをまたいで自分が関わるタスクの全体を把握するのに便利です。
Trelloのフリープラン
Trelloのタスクを管理するボードには、コード不要の自動化が組み込まれており、無料のプランでも利用できます。また、SlackやGoogle Drive、Jiraなどのツールやアプリをボードに接続できるPower-Upも無制限で利用可能。
- 無制限のカード
- ワークスペースあたり最大10枚のボード、1ボードにつき無制限のPower-Up
- 無制限のストレージ(10MB/ファイル)
Trelloは、アトラシアン社の製品で、同社の他の製品でドキュメント管理に便利なConfluenceやアジャイル開発に特化された管理ツールJiraとの連携もスムーズです。
仕事のほか家事などのタスク管理にも プロジェクト管理ツールを個人使いしてみよう

プロジェクト管理ツールの便利な機能のひとつが、タスクの視覚化。タスクを細分化し、作業内容や必要ファイルのリンク、期限、優先度などを設定したカード状態にして、ひと目で各タスクの進捗がわかる状態に表示したりすることができる。
おもにチームでのプロジェクト進行の管理に利用されるプロジェクト管理ツールですが、上記のような無料プランを活用し、それぞれのツールで工夫がこらされた便利な機能を、個人の業務を整理したり、時間管理することなどにも役立てられます。
また、プロジェクト管理ツールを個人使いすることで、仕事だけではなく、家事や趣味の活動、家族行事などもスムーズにこなすべき「プロジェクト」として、生活全体のタスクや時間の管理をすることもできるでしょう。
ここでは、プロジェクト管理ツールを個人使いするためのヒントを紹介します。
自分の関わる「プロジェクト」を整理する
やること=タスクには、委託された業務や、あるプロジェクトのチームメンバーとして自分が担当する業務、指示された業務など、仕事に関するものでも「自分に割り当てられたもの」と「自発的におこなうもの」があります。また、誰かに指示するなど「他に割り当てるもの」もあるでしょう。
仕事以外にも、家事や育児に関わるタスクなど、わたしたちが日々こなしているタスクは、非常に多く目的も多岐に渡っています。
そのため、まずは仕事のほか家事や育児も含めた自分のタスクを「プロジェクト」ごとに、プロジェクト管理ツールを使って自分なりに整理してみるとよいでしょう。
仕事で参画するプロジェクト、食事づくりや子どもの習い事・学校行事、趣味の活動なども、それぞれ「プロジェクト」と捉えて、それぞれに関わるタスクをプロジェクトごとに管理すると、自分のタスクが整理できます。
このように、プロジェクト管理ツールでは視覚的にタスクを整理でき、一元管理できるので、生活全般におけるタスク管理にも有効です。
タスクを視覚的に管理するために細分化しよう
上記で説明したように、かんばん方式をヒントとしたプロジェクト管理ツールでは、タスクを視覚化して管理します。そのためには、ひとつひとつのタスクをシンプルで表示しやすい、小さなかたまりにする必要があります。
このようにタスクを小さなかたまりにしていく細分化、洗い出しの作業にはロジックツリーなどが使われます。タスクの細分化については、以下の記事でもご紹介しています。
プロジェクトの内容に応じて、最適な表示方法(リスト形式、ボード形式、カレンダー形式など)や、タスク内容の設定(期限、優先度など)を検討しましょう。
無料プランを小さなチームで利用可能なツールもあるため、仕事仲間や家族、友人などとともにひとつのプロジェクトを共同で管理することもできますよ。
自分のタスク管理をワーク・ライフ・バランスを整えるヒントに
最近では、核家族や共働き世帯の増加といった家族の形態やあり方の変化、女性が働くことに対しての意識は大きく変わってきています。とはいえ、家事や育児、介護などの「無償労働」は、現状、男性より女性のほうが、負担が大きいのが事実です。そのため、女性はワーク・ライフ・バランスをうまくとりにくい場合が多いといえます。
また、フリーランスとなると、業務の時間や量などに関わる管理を自分でおこなうため、仕事とプライベートの区別が難しいこともあります。リモートワークであれば、プライベート空間で仕事をするため、家事が気になるなど、なおのこと仕事の効率は下がりがちです。
仕事とプライベート、生活全般のタスクを一元管理できるような使い方で、プロジェクト管理ツールを個人的に利用することは、各作業の効率を高め、ひいてはワーク・ライフ・バランスを整えるひとつの助けとなるでしょう。ぜひ、自分に合ったツールや使い方を探してみてくださいね。