デジタル技術を活用して業務の効率化と競争力を高めるDX化が推進される中、その変革に対応するためのスキルをもった人材への需要が高まっています。そのため、特に働き盛りの40代は、新たな技術や知識を身につけるリスキリングが、キャリアアップや将来にわたり働き続けるために必要となるでしょう。また、自分のライフスタイルに合わせた働き方を実現するためにも、40代でのリスキリングについて考えてみましょう。

どうして40代でリスキリングをする必要があるのか

総務省がおこなった労働力調査によると、女性の労働力率は新卒が多い20代後半で87.7％と全年齢を通じて一番高い水準にあります。その後、30代で一度低下し、30代以上の女性では40代の労働力率が最も高いとされています。

現在、そしてこれからは、DX化を進め、効率化をしていかないと会社の競争力が低下するような時代。そんななか、労働力率が高く、管理職やリーダーとして働く人も多い40代を中心としたリスキリングの需要が高まっているのです。

配偶者のいる女性では、30代と比べて40代の労働力率のほうが高く、一度仕事を離れた場合、40代で仕事に復帰する女性が多い傾向にあります。

一度職から離れると、同じ職場環境や給与水準での復帰が難しいことがありますが、仕事に復帰をする前にリスキリングをおこなえば、経験とスキルに応じた待遇、またはライフスタイルに合わせた単価の高い仕事で働ける可能性も高まるでしょう。

会社で求められる人材となるために

終身雇用制度のもとでは、定年まで厄介払いとして閑職に追いやられることを「窓際族」などと呼んだりしましたが、今の時代、必要とされるスキルを習得していかなければ、社内のDX化に取り残され、同じ会社で働き続けることが難しくなる可能性もあります。

リスキリングの重要性を提言する世界経済フォーラムの年次総会（ダボス会議）においては、「第4次産業革命により、数年で8,000万件の仕事が消失するが、9,700万件の新たな仕事が生まれる」という衝撃的な予測がされています。いまの職を失うリスクなどを考えると、転職や起業を視野に入れたリスキリングの必要もあるかもしれません。

やりたい仕事やライフスタイルに合った働き方につながる資格やスキルの取得

リスキリングをおこなうことで、今の職場でのキャリアアップを目指せるかもしれませんし、新しい職場や仕事への挑戦もできるかもしれません。これまで自分が身につけてきたスキルが、さまざまな職業で需要の高いスキルである場合もあります。IT関連のスキルと組み合わせることで、今よりも待遇がよい、あるいは自分に合う働き方ができる可能性もあるでしょう。

リスキリングをきっかけに、自分の希望する働き方を一度考え直してみてもいいかもしれませんね。

40代におすすめのリスキリング

社会的に需要の高いスキルを身につけることは、キャリアアップするにもセカンドキャリアを得るにも役立ちます。業務の効率化や転職、自分を見つめなおすためのスキルなど、40代からの取得をおススメする資格やスキルについて考えてみましょう。

客観的に分かりやすい資格取得

客観的にスキルを確認できる資格であれば、転職の際に履歴書に記載することができます。簿記やITパスポートは働くうえでの基礎知識を証明できますし、MOS（Microsoft Office Specialist）は業務の基礎スキルを証明できるでしょう。

簿記3級はビジネスの基礎知識

事務職員の求人では、簿記3級の取得が必須になっていることも少なくありません。また、簿記の知識があればプロジェクトの予算管理や経営判断、フリーランスとして働く時にも役立つでしょう。経理事務に関係のない営業等であっても、顧客の財務状況を把握し的確なアドバイスができれば、信頼関係の向上につながることもあります。

ITパスポートで幅広いIT基礎知識を身につける

ITパスポートは情報技術に関する基礎的な知識を証明できる国家資格で、経営戦略やプロジェクト管理、パソコンやネットワークに関する幅広い知識を証明することができます。国家資格の中では比較的、難易度が低い試験といわれていますが、試験領域が幅広いため、ITに馴染みがない場合には資格取得に時間がかかるかもしれません。

MOSを取得し業務効率化アップ

MOSの正式名称はMicrosoft Office Specialistで、試験科目がWord、Excel、PowerPoint、Access、Outlookと、ソフトごとに分かれています。資格を取得することで、一般的によく仕事で使用するソフトを扱えることを客観的に証明できます。

Word とExcelなど業務に必須のソフトの操作を深く学んで現在の実務に活用することもできますし、MOSを基礎知識としてデータ分析スキルやプログラミングスキル、デザインスキルなどと組み合わせられれば、スキル活用の場がさらに広がるでしょう。

やりたい仕事につながるリスキリング

動画編集やWeb関係のスキルは、動画広告やオンラインマーケティングが一般的になってきた現代では需要の高いスキルとされています。自分のアイデアを視覚的に表現でき、作品が完成した時の達成感も得られるため、デザイン関係の業務に興味がある方も多いのではないでしょうか。

趣味としても楽しめる動画編集、画像加工のデザインスキル

企業のマーケティング戦略において、SNS（ソーシャル・ネットワーキング・サービス）やウェブ広告、オウンドメディアなど視覚的なコンテンツの重要性が増しています。動画編集や画像加工のスキルは、フリーランスや副業で収入を得るために役立つだけでなく、作品を共有して人に見てもらうなど、趣味としても楽しめるスキルです。

Webデザイン、Webマーケティング

WebデザインはHTMLやCSSなどのコードを使い、画像や色彩などビジュアルデザインも含めて、魅力的な使いやすいサイトを設計・構築する仕事です。Webマーケティングは、SEO（検索エンジン最適化）やSNSなどを活用し顧客を獲得するための知識も必要となります。

最近では、WordPressやStudioなど、HTMLなどのコードが分からなくても視覚的にサイト設計をおこなえる環境が整っています。そのため、WebデザインとWebマーケティングの両方の知識を持つことで、仕事の幅がさらに広がるでしょう。

これからの生き方を考えたリスキリング

第三者として人生設計や目標達成を支援するスキルには、ファイナンシャルプランナーやキャリアカウンセリングがあります。これらのスキルを身につけることで、キャリアに役立つだけでなく、自分自身を見つめなおす機会にもなります。

ファイナンシャルプランナーで自分の家計をプランニング

ファイナンシャルプランナーは、財務管理や投資、保険、税務、年金計画などに関する専門的な知識を学ぶため、銀行員や保険代理店、企業の人事や福利厚生を担当する場合に必要となるでしょう。投資や保険の知識を身につけることは、自分のライフプランを考える際にも役立つため、個人のリスキリングで取得するにも有益な資格といえます。

キャリアカウンセリングで自己理解を深める

キャリアカウンセリングは、個人の職業選択やキャリア開発を支援するスキルです。キャリアコンサルタントの資格を取得することで、人事部門やキャリア支援サービスなどでの転職に有利になり、相談者との信頼性の向上も見込めます。また、学習過程で自己成長や自己啓発にもつながり、自己理解を深めることもできるでしょう。

DX人材となるためのリスキリング

DX化が進む中、企業は新たな技術に対応できる人材を求めています。プログラミングやRPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）、ERP（エンタープライズ・リソース・プランニング）のスキルは、DX推進において重要な役割を果たすでしょう。

DX化で必要とされるプログラミングスキルとRPA

IT人材が不足していると言われる現代社会で、プログラミングスキルは非常に価値のあるスキルです。プログラミングスキルを持つことでソフトウェア開発やシステム構築が可能となり、IT業界への転職やキャリアアップのチャンスが広がります。

また、DX化のなかでRPAツールを使用しオートメーションロボット（業務を自動化するためのロボット）を開発する手法も注目されています。「BizRobo!」や「Ui-Path」といったツールを使いこなすスキルを習得すれば、定型的な業務を自動化でき業務の効率化に役立つ人材となることも可能です。

業務を一元化できるERP

ERP（Enterprise Resource Planning）とは、企業の業務（財務、人事、製造、販売、在庫管理など）を一元管理するシステムのことです。業務の効率化を目指し、今後ERPを導入する企業が増えると予測されています。ERPの基礎知識を学ぶことで、ERPの開発や運用に関する知識を得られるだけでなく、ERPを導入している企業で働く場合に、業務の全体像を把握し、円滑に作業を進めることができるでしょう。

「でじたる女子＋」は、デジタルスキルを学びたい女性向けのe-Learningプログラムです。ITの基本知識から動画編集やWebサイト制作、RPAやSAPなどの専門的なスキルまで、幅広いデジタルスキルを学ぶことができます。メンバー同士での情報交換やサポートを通じて、IT初心者でも安心してリスキリングできる環境ですので、これからの時代に合わせた働き方、自分のライフスタイルに合わせた働き方を実現するための大きな一歩に、ぜひつなげてくださいね。