ここ数年でテレワークという働き方が普及し、Web会議ツールやチャットツールなど、テレワークに便利なツールを導入する企業が増えています。フリーランスとして仕事をする際、クライアントやチームとのやり取りに、これらのツールを使用する機会も多いのではないでしょうか。相手の表情が見えにくくコミュニケーションがとりづらいテレワーク環境で信頼を得るためには、各ツールを使ううえでのビジネスマナーを理解しておくことが重要です。

テレワークでよく使われるツールとビジネスマナー

企業でのオフィスワークでもDX化（デジタル技術を活用して業務を効率化、革新する取り組み）が進む昨今、仕事の効率的な進行やコミュニケーションのため、Web会議ツールやチャットツールなどが必要不可欠となってきています。オフィスワークであれば、そういったツールを使いながらも、上司や同僚の様子を直接見ることができ、相手の表情や態度を読み取ることができます。

しかし、フリーランスとしてテレワーク環境でコミュニケーションをとるには、相手の状況や雰囲気はなかなかわかりづらいものです。クライアントやチームメンバーと良好な関係を保ち、働きやすい環境を整えるためには、ツールの機能を正しく使いこなすだけでなく、各ツールのビジネスマナーを意識し、クライアントやチームとの信頼関係を築くことが重要となります。

Web会議ツールでのスムーズなコミュニケーションのために必要なビジネスマナー

ZoomやGoogle MeetなどのWeb会議ツールは、テレワークにおいて欠かせないコミュニケーションツールです。これらのツールを使えば、移動せずに遠方のクライアントやチームとの会議が可能になります。しかし、通信環境によっては音声や映像が乱れるなどのトラブルが発生することがある点に注意が必要です。

Web会議ツールを使用する際は、会議開始5分前までには接続環境やカメラ、マイクなどの設定を確認しスムーズに会議に参加できるよう心がけましょう。そして、対面とのコミュニケーションにくらべて、相手や自分の反応が伝わりにくいことがある点に注意が必要です。

会議中は可能であればカメラをオンにし、相づちや表情の変化を意識しながら、積極的に反応を示すことで、相手に安心感を与えることができます。また、Web会議であっても相手に信頼感を与えるためには、最低限の身だしなみを整えることも大切です。

チャットツールのビジネスマナーを意識して誤解を防ぐ

Slackやチャットワークなどのチャットツールは、コミュニケーションを円滑に進めるためのツールです。チャットツールはメールにくらべて、複数人での情報共有が容易で、日常のちょっとした質問や連絡など、短いメッセージのやり取りにも適しています。また、特定の話題ごとにスレッドを分けることができるため、情報が整理され、会話の流れを把握しやすいという利点もあります。

メンション（特定の相手に通知を送る機能）やチャンネル、スレッドが増えてしまうと管理が難しくなるため、過度に増やしすぎないよう、適切に使い分けることも重要です。文字だけのコミュニケーションではニュアンスが伝わりにくいことがあるため、属する組織によっては適切なタイミングで絵文字やスタンプを使用して、柔らかい雰囲気を演出することも有効です。

タスク・進捗管理ツールを効果的に活用するためのビジネスマナー

AsanaやTrelloなどのタスク・進捗管理ツールは、チーム全体の作業状況を把握しやすくするためのツールです。プロジェクトを視覚的に整理し、各メンバーの役割や作業の進行状況を一目で確認できる点が特徴です。タスクごとに期限や優先度を設定することで、作業の優先順位を明確にし、効率的に業務を進めるサポートをしてくれます。

タスクの進行状況は、情報を最新に保つために定期的に更新しましょう。複数のタスクを同時に進行している場合は、優先順位に注意しながら作業を進めることも重要となります。

テレワークでは、問題が生じても自分で発信しなければ周りに気づいてもらえません。たとえば、状況的に納期が厳しいと感じたら早めに相談することで、信頼を損なうことなく調整や対応ができる可能性が高まるなど、こまめな連絡が大切です。また、日頃からコメント機能を活用して、チームでのコミュニケーションを取ることも意識しましょう。

ファイル共有ツールを安全に活用するためのビジネスマナー

Google DriveやDropboxなどのファイル共有ツールは、チーム内でのファイル共有に役立つツールです。特に、GoogleドキュメントやGooogleスプレッドシートなどのファイルでは、複数のユーザーがリアルタイムで同時に編集ができるため、共同作業をスムーズに進められます。

ただし、ファイル共有ツールでは必要なファイルを誤って削除したり、見せるべきではない相手に情報が閲覧されたりと、データ保管や情報漏洩のリスクが高まる点には注意が必要です。

ファイルを共有する際には、情報が不適切に扱われないように、誰がどの権限でアクセスできるかを明確にし、アクセスログを活用することが重要です。また、複数人で利用する場合には、フォルダ構造をわかりやすく設計し、整理整頓を徹底することでチームメンバー全員が効率的に作業を進めやすくなります。

テレワークを円滑に進めるための鍵となるビジネスマナー

相手の様子が見えないテレワークでは、メールやチャットへの反応が遅いと不安に感じられることがあるため、どのツールを使う場合でも迅速なレスポンスを心がけることが重要です。

また、文章によるコミュニケーションは、口頭でのやり取りよりも冷たく感じられることがあるため、言葉選びには細心の注意が必要となります。そして、セキュリティや通信環境を整えるなど、相手の立場に立った対応が、基本的なビジネスマナーとなります。

フリーランスで信頼を得るための時間管理と素早いレスポンス

フリーランスとして働く場合、オフィスワークとは異なり、時間管理は自分でおこなわなければなりません。作業の遅延やミスが多くなると、チーム全体に悪影響を与える可能性もあるため、優先順位を立て効率的に作業を進めることが重要です。

また、相手の様子が見えないテレワークでは、メールやチャットへの反応が遅れると不安を感じさせることがあるため、レスポンスを早くすることを意識しましょう。即時対応が難しい場合でも、対応可能な時期を伝えることで、相手に安心感を与え、信頼を得ることができます。

テレワークにおける適切なコミュニケーション

メールやチャットツールなどテキストでのやり取りは、口頭で話すよりもきつく感じることがあるため、意図せず厳しい印象になっていないか気を付け、ポジティブな言葉を使うよう意識しましょう。また、分かりにくい表現や誤解を招く表現をしていないか、文章を送信する前に再度確認しましょう。

特に指摘や依頼をする際には、相手に配慮した柔らかい言い回しを心がけ、絵文字やスタンプを適度に使用することも意識すると良いかもしれません。ただし、ビジネスの場において絵文字やスタンプの乱用は軽率な印象を与えることもあるため、チームや組織に合わせ、バランスを取りましょう。

最低限守るべきセキュリティ対策と通信環境の整備

テレワークをおこなう際には、セキュリティ対策が欠かせません。セキュリティソフトの導入だけでなく、使用するパソコンやスマートフォンなどのデバイスが最新のアップデートを適用しているかを確認し、デバイス本来のセキュリティ機能を最大限に活用しましょう。

カフェやコワーキングスペースなど外部で作業をする場合には、無料Wi-Fiの使用は避けた方がよいでしょう。デバイスのセキュリティ対策が万全であっても、ショルダーハック（画面を覗き込まれること）への対策や、デバイスから離れる際に自動でロックがかかる設定をすることも重要です。

また、通信環境が悪くWeb会議中に画像や音声が乱れると、意思疎通が困難になるだけでなく、信頼を損ねる可能性もあります。回線の速度に不安がある場合は、光回線や高速インターネット接続を利用することをおすすめします。

フリーランスが信頼を築くために必要なテレワークのビジネスマナー

テレワークは柔軟な働き方を可能にする一方で、相手との信頼関係を築くためには、オフィスワーク以上に細やかなコミュニケーションが求められます。信頼関係を築けなければ、安心して仕事を任せることも、受けることも難しくなってしまいます。

相手との信頼を築くためには、各ツールを使う際のビジネスマナーに一層の注意を払う必要があります。また、基礎的なIT知識をつけ、安定した快適なテレワーク環境を整えることも、効率的に業務をおこなう上で重要です。テレワークの利便性を最大限に活かし、クライアントやチームとの信頼関係を築くことで、フリーランスとして快適に仕事をしつつ自分らしい生活を実現させましょう。