テレワークのメリットとは 個人のライフスタイルに合わせた働き方を目指して

働き方

新型コロナウイルス感染症への対応として、場所や時間にとらわれない、テレワークを導入する企業が急激に増えました。感染症対策として広まったテレワークですが、テレワークが導入されたおかげで、介護や育児の両立がしやすくなったという方もいるのではないでしょうか。新型コロナウイルス感染症が収束した今も、ワーク・ライフ・バランスを見直し、家庭との関わりを大事にしたいと考える働き手も増えるなか、テレワークに対するニーズは高まっています。

目次

    テレワークで働くことのメリット

    場所や時間にとらわれず、自宅やコワーキングスペースなど自分に都合のよい場所で就業できるテレワークでは、通勤時間が削減されたり、隙間時間を家事などに有効活用できたりと、これまでより少し時間に余裕をもった生活ができるでしょう。時間や場所の制限で、働くことを断念していた人も、テレワークにより自分らしく働き続けられる可能性が広がっています。

    企業にとっては、テレワークや通勤時間を自分で決められるフレックスタイム制などを導入することにより、女性の離職率の減少や、仕事が効率化され、生産性が向上するといったメリットがあります。

    テレワークで通勤時間を節約し”隙間時間”を活用する

    テレワークやフレックスタイム制などを活用することのメリットの一つとして、満員電車による長い通勤時間や、渋滞による通勤ストレスの軽減があります。自動車で通勤している場合は、運転による事故のリスクも低下します。通勤時間の短縮や削減は、一日の始まりを大きく変えてくれる可能性があるでしょう。

    また、テレワークで働くことによって、今まで通勤をしていた時間に洗濯物を干したり、休憩時間を晩御飯の買い出しや、準備をおこなう時間にあてられます。朝夕の短い時間でギリギリやっていた家事を分散させ、時間に余裕を持った生活を送れる可能性もでてきますね。

    テレワークでの介護や子育てとの両立を考える

    以前と比べ「介護休暇」や「子の看護休暇」などの制度を活用しやすい職場も増えてきました。しかし、取得実績が少ない職場や、休暇中に賃金の支払いがない場合、休暇の取得を躊躇することもあるでしょう。一方、テレワークであれば、自宅で仕事をしながら、介護や子供の看病をすることができるかもしれません

    テレワークで仕事の効率化と生産性の向上

    出典:国土交通省「平成31年度(令和元年度)テレワーク人口実態調査」(https://www.mlit.go.jp/toshi/daisei/content/001338545.pdf

    国土交通省の「平成31年度(令和元年度)テレワーク人口実態調査」では、テレワークによって「全体的にプラス効果があった」と回答した54.7%の人のうち、43.5%は「業務効率が上がった」と回答しています。

    テレワークに対応した働き方にシフトすることで、会議時間の短縮や会議そのものの必要性の見直しにつながったと考えられます。また、テレワークでは業務の指示が要点をまとめた明確なものになるほか、チャットツールやWeb会議ツールなどのアプリを的確に使うことで、作業が効率化されたことも大きいでしょう。

    テレワークによる働き方の多様性で人材確保

    テレワークにより「育児」の時間や、家族との団らんを含む、「休養・くつろぎ」の時間が増えたとされる調査結果もあります。(総務省統計局「テレワークによる生活時間の変化」)

    人口減少社会に突入し、企業側としては人材不足が懸念されています。家族との時間を大切にしたいというニーズが高まることで、テレワークなどのワーク・ライフ・バランスを意識した職場環境づくりが、人材確保のための手段としてさらに進められていく可能性があります。テレワークでは、感染症リスクの軽減や、災害時に業務を続けられる可能性が高まることも、メリットとの一つといえますね。

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    テレワークでSDGs達成に貢献できる

    テレワークには、「2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標」であり、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓うSDGs(継続可能な開発目標)の達成に貢献できるという側面もあります。

    場所や時間にとらわれない働き方が可能になることで、病気や障がいを抱えた人でも働く環境を整えやすくなるでしょう。また通勤時間や出張回数の減少により、環境への負荷が減ったり、地域の活性化なども期待できますね。

    テレワークで誰もが働きやすい環境へ

    男性よりも介護や子育てなどを負担していることの多い女性ですが、テレワークによって、ライフスタイルに合わせて働けるようになる可能性があります。また、夫婦ともにテレワークで働ける環境を整えることにより、協力して介護や子育てをできるようになるだけでなく、介護や子育てによる孤立のリスクも軽減できるでしょう。

    ケガや病気、障がいを持つ人も、テレワークによって柔軟な働き方ができれば、通勤などの移動や外の環境での身体的な負担を軽減することができます。自宅やバリアフリーな環境など、各人が就業する環境を各人の状態によって選ぶことができれば、、さまざまな状態にある人にとって、働くことがより身近になるかもしれません。その結果、多様な人々が働きやすい環境が整うことで、誰もが働きやすい環境になっていくだけでなく、経済成長の可能性も高まります。

    テレワーク・サテライトオフィスによる地域活性化と雇用拡大

    テレワークにより、地域の活性化も期待されています。新型コロナウイルス感染症の流行以降、Uターン(地元に戻る)や、Iターン(地方へ移り住む)など、地方移住への関心が高まりました。テレワークを導入する企業や、サテライトオフィス(本社や主要なオフィスから離れた場所に設置された、支社や拠点)なども増え、地元に戻っても同じ会社や、同業種で働ける可能性が開けてきたことも大きな要因でしょう。

    最近では過疎化や高齢化などの人口減少により、自治体の存続が困難になっている「消滅可能性自治体」がニュースでも取り上げられています。テレワークやサテライトオフィスによる、地元の雇用拡大や活性化などは、こういった自治体存続のヒントにもなりそうです。

    テレワークで環境への負担が減少するメリット

    2022年度の国土交通省調べでは、日本の二酸化炭素排出量のうち、自動車の二酸化炭素排出量が15.9%を占めているとされます。テレワークで働くことによって、通勤や出張などの回数が減り、時間をずらして通勤することで、渋滞が緩和されることも期待されます。多くの二酸化炭素を排出する自動車の使用頻度が減れば、環境への負担減少も期待できるでしょう

    テレワークに向いている職種と身につけたいスキル

    接客や現場での対面作業が必要な仕事では、テレワークの導入は難しいといえます。ライフスタイルを考え、テレワークで働きたいと思った場合、テレワークとして働ける職種かどうかを考える必要があります。テレワークで就業できる仕事の中でも、未経験者でも比較的対応しやすい傾向にある仕事もあれば、専門スキルを活かせる仕事もあります

    未経験から始めるのにおすすめのテレワーク

    未経験から始めるのにおすすめの仕事として、「データ入力」「コールセンター」など、パソコンや電話があれば、初期投資が比較的少なく始められる仕事があります。

    データ入力

    印刷された文章、音声データなどをExcelやWordなどでデータ化し、電子データを納品する仕事です。納品の期限内であれば、就業時間も比較的ライフスタイルに合わせやすいといえます。

    コールセンター

    顧客からの問い合わせに対応したり、電話営業をおこなう仕事で、自宅で就業できる場合も増えてきています。また働き手の希望や都合に合わせ、シフトが組みやすい仕事でもあります。

    専門スキルがある方におすすめのテレワーク

    仕事や趣味で身につけた専門スキルがある方におすすめの職業として、「Webデザイナー」、「動画編集」、「ハンドメイド作家」などがあります。納期という期限はあるものの、就業時間や就業場所にしばられない点で、どれもライフスタイルに合わせて働きやすい職業といえるでしょう。

    Webデザイナー

    Webサイトのデザインや制作を担当する職業です。クライアントとの打合せや、画像の作成など、請け負う案件により業務内容はさまざまです。

    動画編集

    編集用のソフトウェア、アプリなどを使って、YouTubeやInstagram、TikTokなどに投稿する動画を編集する仕事です。動画の編集スキル、動画編集に対応できるパソコンやソフト、アプリが必要です。

    ハンドメイド作家

    ヘアアクセサリーや雑貨などを制作、販売、出品する職業です。販売する商品を作るスキルのほかに、販売のためのマーケティングスキルも必要となるでしょう。

    高度な専門スキルやビジネススキルがあれば挑戦できるテレワーク

    「オンラインアシスタント」「システムエンジニア、プログラマー」は高度な専門スキルやビジネススキルがある方におすすめです。オンラインアシスタントやシステムエンジニアは特に、顧客とのコミュニケーション能力も問われる職業といえるでしょう。

    オンラインアシスタント

    メール対応、スケジュール管理、出張や会食の手配、議事録作成など、リモートで企業の様々な業務をサポートする職業。仕事が多岐にわたるため、幅広いITツールの知識と、コミュニケーション能力が求められます。

    システムエンジニア、プログラマー

    システム開発の提案、設計・開発、テストまでの一連の流れに携わる「システムエンジニア」や、プログラミング部分を担う「プログラマー」など、専門スキルが必要となる仕事です。

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    働き方に合わせた環境作りとリスキリング

    テレワークを実施するためには、まず就業場所での通信環境やセキュリティ対策を整えなければなりません。また、業務上のコミュニケーションをとるためや、上司や同僚との会話が減り、孤独感や社会的な孤立感を感じやすい一面もあるため、チャットツールやバーチャルオフィスなどを適切に導入する必要があります。

    自分のライフスタイルに合わせた働き方を目指すためにも、パソコン操作に対して苦手意識の高い人は、インターネットやパソコンのトラブルに対応できるよう、事前にIT基礎知識などを学ぶリスキリングをしておくとよいかもしれません。テレワークに対応できるITスキルを身につけることで、仕事を効率化できたり、転職でスキルを自己PRできるなど、学ぶことのメリットは数多くあるといえます。

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